産婦人科 
-疾患・治療-

疾患

■ a)婦人科腫瘍

常勤の3名の中で、2名が婦人科腫瘍専門医であり、悪性腫瘍については積極的に治療を行っていきます。近年、腹腔鏡による子宮体癌手術も保険適応となり、当院でも導入していく予定であります。また、婦人科悪性腫瘍手術の場合、消化管の合併切除や尿管の合併切除など、婦人科のみでは対応できない場合も少なくないため、これらについては院内他科と連携しておこなっていきます。

 

婦人科で扱う悪性腫瘍には、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、その他のがん(卵管がん・腹膜がん・外陰がん・腟がん・絨毛がんなど)があります。発生部位や組織学的特徴、CTやMRIなどの画像による病変のひろがりなどから的確な診断をおこない、治療方針を決定します。治療方法には手術や放射線療法、抗がん剤による化学療法などがあります。診断結果をふまえ、標準治療はもとより、患者さんの全身状態や合併症、本人やご家族の希望も考慮し満足度の高い治療を提供いたします。
それぞれのがんについては以下の通りです。

 

 

■ ⅰ)子宮頸がん

子宮の入り口の子宮頸部から発生するがんです。検診等で検査や観察しやすいので発見されやすいですが、進行すると治療が難しいため、早期発見がきわめて重要です。その発生には多くの場合ヒトパピローマウィルス(HPV)が関連しているといわれており、予防ワクチンの接種も可能です。がんが疑われたら、内診所見、組織診断とMRIやCTで病変のひろがりや周辺臓器への浸潤の程度などで進行期を決定し、進行期に応じて治療法を選択します。がんが子宮頸部に限局しているⅠ期や周囲組織や腟への浸潤が軽度なⅡ期は手術療法、周囲組織や腟への浸潤が高度なⅢ期やⅣA期は放射線化学療法、肺や肝臓などの他臓器への遠隔転移があるⅣB期は全身化学療法が選択されることが多いです。進行がんに対する手術は広汎子宮全摘術といって、術後排尿障害やリンパ浮腫などの合併症も婦人科手術のなかでは一番多い大がかりな手術となります。術後に追加の抗がん剤治療が必要となる場合もあります。
*当院には放射線治療施設がないため、放射線治療が必要と判断した場合には、他施設に紹介いたします。

 

 

■ ⅱ)子宮体がん

子宮体部(頸部よりも奥の方)の内膜から発生するがんです。閉経後の不正出血がきっかけで発見されることが多いです。ほかに子宮の筋肉などから発生する子宮肉腫もこれに含まれます。子宮内膜掻把により組織診をおこない、画像検査にて全身へのひろがりをチェックします。

 

子宮体がんの治療の第1選択は手術です。子宮と両側附属器、リンパ節を摘出します。以前は開腹手術によりおこなっていた手術ですが、近年では腹腔鏡下手術もおこなっていて、より患者さんの負担が少ない手術が受けられるようになっています。手術により摘出した子宮やリンパ節の病理組織診断により、進行期が決定されます。がんが子宮体部にとどまっていればⅠ期、子宮頸部に広がっていればⅡ期、附属器(卵巣+卵管)や腟、リンパ節に広がっているものはⅢ期、隣接臓器や遠隔臓器に浸潤や転移のあるものはⅣ期です。術後にがんがまだ残っている場合や残っている可能性が高い場合は追加の抗がん剤治療が必要となることもあります。

 

 

■ ⅲ)卵巣がん

卵巣は子宮の横に左右ふたつある、親指の先ほどの大きさの臓器です。ここから発生する腫瘍が卵巣腫瘍ですが、組織の種類もさまざまで、悪性度も良性から境界悪性、悪性とあり、組合せにより多くのパターンがあります。卵巣から発生する悪性腫瘍を卵巣がんといいます。卵巣がんは子宮がんにくらべて早期発見がむずかしく、進行した状態で発見されることが多いため再発も多く予後不良です。

 

手術により腫瘍を摘出し、進行期を決定します。症例によっては手術中に迅速病理検査をおこない、術式を決定することもあります。また、進行例では手術により腹腔内の残存腫瘍を可能な限り少なくすることが予後に影響をおよぼすため、手術にあたっては外科・泌尿器科医の協力のもと、浸潤のある他臓器の合併切除をふくめた腫瘍減量術をおこなうこともあります。がんのひろがりが卵巣のみに限局しているものがⅠ期、骨盤内への進展がある場合Ⅱ期、腹腔内全体にひろがるものがⅢ期、肝臓実質や肺など遠隔臓器への転移があるものはⅣ期です。Ⅰ期の一部をのぞき、たいていの患者さんで術後抗がん剤治療が必要です。

 

 

■ ⅳ)その他のがん

卵管がんや腹膜がんは卵巣がんに準じた治療をおこないます。外陰がんや腟がんは手術や放射線治療、抗がん剤治療をくみあわせた治療をおこないます。絨毛癌は、妊娠や胞状奇胎、流産の絨毛組織(胎盤の基本構造)から発生する癌です。抗がん剤治療により完治がのぞめるがんです。抗がん剤治療に抵抗性の場合は手術も考慮されます。

 

また、子宮筋腫や卵巣腫瘍などの良性疾患についても、内科的治療から外科的治療まで積極的におこないます。これらの手術について、病状や患者さんの状態に応じて腹腔鏡を用いておこないます。

 

 

■ b)ヘルスケア

近年クローズアップされている更年期障害や月経困難など女性のヘルスケアについて、当院でも積極的に診療をおこないます。骨盤臓器脱は高齢女性に比較的みられる疾患であり、保存的治療においては当院でも対応可能ですが、外科的治療を希望される場合は他施設に紹介いたします。

 

 

周産期

■ a)婦人科腫瘍

一人の女性が一生に出産する回数が極めて少ない現代において、女性にとっての出産はより特別な機会となっています。その特別な時間を気持ちよく過ごして頂ける様産科病棟は全室リニューアルしました。患者さんに満足して頂けるようスタッフ一同精一杯お手伝いさせて頂きます。しかし、当科の人員が3名と少ないため多数の分娩を取り扱う事が困難な状況です。さらに当院にはNICUが無いことからリスクのある妊婦を取り扱うことは困難です。そのため合併症を有する妊婦、双胎妊娠および早産が予想される場合などは、周産期母子医療センターを有する施設に紹介いたします。また、人工妊娠中絶は取り扱いません。

 

奈良県西和医療センター 院長

 

 

診察について

■ どんなことを聞かれますか?

産婦人科を受診するときには、次のようなことをお聞きします。

 

問診票がありますので、その質問事項にそって、記入して下さい。

 

<例>

  • 受診の理由
  • 最近の月経が何月何日から始まったか、何日続くか
  • 月経の周期は規則的か、またはそれは何日周期でくるのか
    (月経の開始日から次の月経開始日の前日までの日数です)
  • 今までに何回妊娠をしたか。何回分娩をしたか
  • 初潮は何歳か、閉経は何歳か
  • 今までにかかった病気やうけた手術はないか
  • 喘息や薬のアレルギーはないか、あるなら何という薬か

 

答えにくい事柄もあると思いますが、正しい診断や治療に大切なことですので、できるだけ正確にお答えください。

 

 

■ 産婦人科外来でよく行われる診察や検査は?

内診子宮や卵巣、膣の様子などを診るために行う診察のひとつです。膣の中に内診指を入れて、子宮や卵巣の大きさや硬さなどを診たり、膣鏡という膣の中を見る器具を膣に挿入して、膣や子宮の入口の状態を診ます。(内診前には、トイレに行き膀胱を空にしておく必要があります。)子宮癌検診(細胞診)子宮膣部、子宮頚部、必要ならば子宮体部より細胞を採取し検査します。※診察の後に出血することがありますので、生理用ナプキンをお持ち頂くことをお勧めします。超音波検査(エコー)膣内に細い超音波の器械をいれてみる方法(経膣超音波検査)と、お腹の上から超音波の器械をあててみる方法(経腹超音波検査)とがあります。経膣超音波検査の方が経腹超音波検査よりも子宮や卵巣がみやすいことが多いため、産婦人科の検査ではしばしば行われます。血液検査血液検査で、貧血の具合をみたり、ホルモンの量をはかったりします。尿検査妊娠が疑われるときには、尿検査で妊娠反応をみます。尿中の白血球、赤血球、タンパク質や尿糖の検査をします。トイレに行く前に尿検査があるかどうか確認しておいて下さい。

 

 

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