主な疾患と治療について
■ 低身長
低身長は、医学的には次の2つの場合を言います。
① 身長が同性同年齢の子どもと比べて-2SD 以下の場合
② 身長が正常範囲であっても、成長速度の低下(背の伸びの悪さ)が2年以上続く場合(小学校低学年では年間4cm以下)
*SD(標準偏差)とは統計学で使われる言葉で、この場合は、子どもの身長の バラツキの程度を表わしています。
低身長の原因は様々です。95%は原因がはっきりせず、特発性低身長症と呼ばれます。残りの5%が病気でおこります。成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌不足、在胎週数に比べて小さく生まれた子供さんが2歳までに成長が追いつかないSGA性低身長症、ターナー症候群、ヌーナン症候群などの遺伝性の異常や脳腫瘍などがあります。当科ではこれまでの成長記録を成長曲線に表し、血液検査や頭部MRIなどをおこない原因の精査を行っています。また、成長ホルモンの分泌不全が疑われる場合は、入院で成長ホルモン分泌刺激試験をおこない、成長ホルモン治療が必要かどうか確認しています。
当科へご相談に来られる際には、母子手帳、保育所や学校で測定された成長記録をご持参ください。
■ てんかん
「脳の慢性疾患」で、脳の神経細胞に突然発生する激しい電気的な興奮により繰り返す発作(てんかん発作)を特徴とする疾患です。子供に多いてんかんとしては、7~10歳頃に始まり、寝入りばなや寝起きに、顔(特に唇)がピクピクしたりしびれたりする“中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん(ローランドてんかんとも呼ばれます)”や、4~10歳頃、特に女児に多く、突然、それまで行っていた動作を中断し、呼びかけに反応しなくなる“小児欠神てんかん”、生後4~7カ月に首がうなずくようにカクンと下がり、両手は上にグッと上げるような発作が特徴の“点頭てんかん”などがあります。当科では、このようなお子様に対しCT、MRI、SPECTなどの画像診断とともに脳波およびビデオ脳波検査で、きめの細かい診断と治療を行っており、西和地区だけでなく奈良県一円から患者さんが受診されています。
(担当:田口)
■ 川崎病
川崎病は全身の血管に炎症を起こす病気で4歳以下の乳幼児が多く発症します。①発熱が5日以上続く ②からだに発疹が出る ③手足が赤く腫(は)れ、回復期には手足の指先から皮がむける ④目が充血する ⑤くちびるが発赤し、舌はイチゴのように赤くぶつぶつする ⑥首のリンパ腺が腫れる、の6つの特徴的な症状があります。また、BCGを接種した跡が赤くなったりします。もっとも問題となるのは、心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠状動脈という血管に後遺症が残るかどうかという点です。当科ではガイドラインにもとづき、ガンマグロブリン療法やアスピリンの投与、難治例にはステロイド療法やレミケード投与を行っています。また、入院中および退院後は心エコーによる冠状動脈のチェックを定期的に行っています。現在、100名以上の川崎病患者さんを退院後心エコーでフォローしています。
■ 予防接種-二次医療機関-
アレルギーや、その他基礎疾患があるため一般の子どもたちと同じように予防接種が受けられない方を対象にした予防接種です。月曜の午後に行っています。
■ アレルギー疾患
食物アレルギーのお子さんは原因となる食物を摂取すると蕁麻疹・掻痒感などの皮膚症状や咳・喘鳴などの呼吸器症状、嘔吐・下痢などの腹部症状等を認めます。当院では詳しい問診や皮膚検査、血液検査などをもとに原因食物の特定を試み、必要に応じて日帰りもしくは1泊入院にて経口食物負荷試験を行い、必要最小限の除去を基本とした食生活の指導を行っております。 また、乳児湿疹やアトピー性皮膚炎に対して正しいスキンケア方法や必要に応じた薬物療法なども行っており、気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎などについての外来診療も行っておりますので、これらの症状でお悩みの方は一度お気軽にご相談ください。
■ 夜尿症外来について
おねしょが治らない、今後学校の宿泊行事があるのでそれまでにおねしょを何とかしたい、おねしょで本人が自信をなくしている、等など、おねしょに関して悩んでいらっしゃる方はいらっしゃいませんか。夜間、寝ている間に目が覚めずにおしっこをお漏らししてしまうことを「おねしょ」と呼び、5歳までは病気ではありませんので自然経過をみて問題ありません。一方、「5歳以降で、1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続くもの」を「夜尿症」と呼び、診療の対象となる可能性があります。夜尿症は本人や家族にとって大きな悩みであることが多く、本人が自信を失い、生活面に影響を及ぼすこともあります。夜尿症外来ではまず十分な問診を行い、それをもとにして必要に応じて検査や治療などをすすめていきます。夜尿症にお悩みの方は一度ご気軽にご相談ください。
(担当:西岡)
■ 子供のこころ外来
当科は、奈良県でも数少ない児童精神疾患を専門的に診療している小児科です。一般小児科医にとっては診断やフォローが難しい自閉症スペクトラム(自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害)などの小児発達障害や注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、不登校などの患者さんに対し、心理カウンセラーと協力しながら親身になって診療を行っています。お困りの方は一度当科へご相談ください。
(担当:田口)
■ 心理カウンセリング
金曜の午後に心理カウンセラーによるカウンセリングを行っています。
■ 頭のかたち外来
2023年7月より「頭のかたち外来」を開設させていただくこととなりました。赤ちゃ
んの頭はやわらかく、頭が絶壁(短頭)、斜め(斜頭)の形にゆがむことがありま
す。頭の変形の原因のほとんどは向き癖などによる位置的頭蓋変形です。頭の変形は
体位変換(体の向きを定期的に変える)や、お座りできるようになれば、改善してく
ることがほとんどです。変形が重度の場合、改善の程度が弱いことがあります。その
改善策の一つにヘルメットによる頭蓋矯正治療があります。赤ちゃんの頭のかたちが
気になれば、受診し、ご相談していただければと存じます。詳細は下記のPDFを参照
してください。
診察日 水曜日午前(9-11時)西岡、金曜日午後(13-15時)吉澤