消化器内科は、消化器系に関する病気や異常を診察・治療する専門の診療科です。消化器系とは食べ物を消化し、栄養を吸収し、体から不要なものを輩出する一連の臓器のことを指します。具体的には、食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓などが含まれます。糖尿病内科は糖尿病を診療しますが、糖尿病は肥満や慢性肝疾患や慢性膵疾患などと密接に関係しており、消化器内科の特に肝臓、膵臓の分野と重なるところが大きいです。スタッフは消化器疾患では経験豊富な消化器専門医7名が、糖尿病に関しては非常勤の専門医3名が診療しています。消化器疾患は吐血、下血、黄疸などの内視鏡検査や治療を要する急性疾患が多く、緊急内視鏡がいつでも対応できるようにしています。また我が国の癌の中で最も多い消化器癌(胃癌、大腸癌、膵癌、肝癌、胆道癌)に対しては、正確な診断を行い、さらに外科、放射線科と連携し患者様ひとりひとりにあった治療法を一緒に考えていきます。また早期消化管癌(食道、胃、大腸)であれば内視鏡的治療も積極的に行っております。さらに内視鏡検査、治療においては、患者様の苦痛や不安を最小限に抑えるよう努力しています。

また慢性肝疾患や肝臓癌に対しては診断から治療まで切れ目なく医療を提供できるように努めています。

そして、何よりも患者様の声に耳をすませ、ひとりひとりに寄り添った医療を心がけ、患者様とともに病気と向き合い、歩んでいく全人的医療をめざします。

消化器疾患でお悩みのことがありましたら、当科の扉を遠慮なくたたいてください。

症状と対応する消化器疾患

1.消化管疾患(内視鏡での診断と治療が中心となります)

胸やけ:逆流性食道炎 食道裂肛ヘルニア
つかえ感:食道癌 好酸球性食道炎 アカラシア
吐血:食道静脈瘤 胃潰瘍 十二指腸潰瘍
上腹部痛:急性胃炎 胃潰瘍 十二指腸潰瘍 好酸球性胃腸症 アニサキス 胃癌 
腹痛(全体的):腸閉塞 腸炎
嘔気・嘔吐:腸閉塞 胃潰瘍 十二指腸潰瘍 機能性ディスペプシア
下痢:感染性腸炎 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎)好酸球性胃腸症 過敏性腸症候群
便秘:腸閉塞 大腸癌 過敏性腸症候群 機能性便秘症
血便(新鮮血):大腸憩室出血 虚血性腸炎 大腸癌 大腸ポリープ 痔核
血便(黒色便);胃潰瘍 十二指腸潰瘍 小腸出血
体重減少:胃癌・大腸癌の進行

2.胆道・膵疾患

上腹部痛:胆嚢炎 胆石発作 総胆管結石 急性膵炎 慢性膵炎 膵癌 
黄疸:総胆管結石 胆道癌 膵癌
背部痛:急性膵炎 慢性膵炎
下痢:慢性膵炎
体重減少:膵癌

3.肝臓疾患

黄疸:急性肝炎
腹部膨満:肝硬変による腹水
発熱、倦怠感:急性肝炎
意識障害:肝硬変による肝性脳症
肝機能障害:薬剤性肝障害 アルコール性肝障害 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患、自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎)
肝腫瘤:肝細胞癌 転移性肝癌 胆管癌 良性腫瘍

疾患と治療

胃食道逆流症

食道がん

好酸球性消化管疾患

食道・胃静脈瘤

消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)

胃がん

大腸がん

虚血性腸炎

炎症性腸疾患

過敏性腸疾患

胆石症

膵臓がん

膵のう胞性腫瘍

急性肝炎

B型肝炎

C型肝炎

代謝機能障害関連脂肪性肝疾患

アルコール性肝障害

自己免疫性肝疾患

肝硬変

肝細胞がん

肝機能ALTが30を超えていたら、医療機関を受診してください

奈良宣言とは

特に一般的な健康診断でも肝機能検査として血液検査で広く測定されているALT値が30を超えていた場合、まずかかりつけ医等を受診することを勧めています。

目的は何ですか?

かかりつけ医による採血や腹部超音波検査などを受け、必要と判断されれば、さらに消化器内科におけるより詳しい検査を受けることで、肝疾患の早期発見・早期治療に繋げるためです。

どんな原因があるのですか?

近年、肝臓病でも頻度が高かったウイルス性肝疾患(特にB型肝炎やC型肝炎)の治療方法は進歩し、高い可能性で肝臓病から命を守ることができる時代となりました。しかし、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、肝臓病は病状が進行して、肝硬変や肝臓がんに進行して、疲れやすい、顔色が悪い、お腹が張ったなどといった進行した症状で初めて肝臓病が見つかるひとも少なくありません。最近、特に生活習慣病を基盤とするいわゆる脂肪肝(非アルコール性脂肪肝炎(NASH)やアルコール性肝疾患)などが進行して肝硬変や肝臓がんに至ることも増えており、注意が必要です。

がん予防について

図1は、日本人のがんの中で、原因が生活習慣や感染であると 思われる割合をまとめたものです。「全体※」の項目に示されている、男性のがんの43.4%、女性のがんの25.3%は、ここにあげた生活習慣や感染が原因でがんになったと考えられています。

これから紹介する5+1のがん予防法を実践することで、あなた自身の努力でがんになるリスクを低くしていくことが可能です。

1.禁煙する

 日本人を対象とした研究から、たばこは肺がんをはじめ、食道 がん、膵すい 臓ぞう がん、胃がん、大腸がん、肝細胞がん、子宮頸がん、頭頸 部がん、膀ぼう 胱こう がんなど、多くのがんに関連することが示されました。 たばこを吸う人は吸わない人に比べて、何らかのがんになる リスクが約1.5倍高まることが分かっています。

2.節酒する

 日本人男性を対象とした研究から、1日あたりの平均アルコー ル摂取量が、純エタノール量換算で23g未満の人に比べ、46g以 上の場合で40%程度、69g以上で60%程度、がんになるリスク が高くなることが分かりました。

特に飲酒は、肝細胞がん、食道がん、大腸がんと強い関連があり、女性では男性ほどはっきりしないものの、乳がんのリスクが 高くなることが示されています。女性の方が男性よりも体質的 に飲酒の影響を受けやすく、より少ない量でがんになるリスク が高くなるという報告もあります。 お酒を飲む場合は、純エタノール量換算で1日あたり23g程 度までとし、飲まない人、飲めない人は無理に飲まないようにし ましょう。 飲酒量の目安(1日あたり純エタノール量換算で23g程度までとし、飲まない人、飲めない人は無理に飲まないようにしましょう。

3.食生活を見直す

これまでの研究から、「塩分や塩辛い食品のとりすぎ」「野菜 や果物をとらない」「熱すぎる飲み物や食べ物をとること」が、 がんの原因になるということが明らかになっています。塩分を 抑え、野菜と果物を食べ、熱い飲み物や食べ物は少し冷ましてからとるという3つのポイントを守ることで、日本人に多い胃がん や、食道がん、食道炎のリスクが低くなります。

4.身体を動かす

 仕事や運動などで身体活動量が高い人ほど、がん全体の発生リスクが低くなるという報告があります。 身体活動量が高い人では、がんだけでなく心疾患のリスクも低くなることから、普段の生活の中で無理のない範囲で可能な かぎり身体を動かす時間を増やしていくことが、健康につながると考えられます。

5.適正体重を維持する

これまでの研究から、肥満度の指標であるBMI※値が、男性は 21.0~26.9で、女性は21.0~24.9で、がん死亡のリスクが低いことが示されました。
※BMI(Body Mass Index): 肥満度を表す指標です。値が高くなるほど、肥満度が高いことを表します。

6.感染症の検査を受ける

日本人のがんの原因として、女性で1番、男性でも2番目に多 いのが「感染」です。下表のようなウイルス・細菌感染と、がん の発生との関連があるとされています。

<出典:国立がん研究センターがん情報サービス>
肝炎ウィルスとヘリコバクター・ピロリ菌に関しては消化器内科にご相談ください。

診療実績

2020年2021年2022年2023年
上部消化管内視鏡1817179318462075
内視鏡的止血術(上部)38243857
内視鏡的ポリープ切除術(上部)711813
内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD(上部)26333033
胃瘻造設術36251627
下部消化器内視鏡1250130714671561
内視鏡的止血術(下部)22153845
内視鏡的ポリープ切除術/粘膜切除術(下部)293324414496
内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD(下部)262128
内視鏡的逆行性胆管膵管造影:ERCP182181164235
超音波内視鏡:EUS8182109127
超音波内視鏡下針生検:EUS-FNA14151418
肝生検1512618
ラジオ波焼灼術:RFA991729
イレウス管挿入術43413433
直接作用型ウイルス薬(C型肝炎)5
糖尿病教育入院20

施設認定

日本消化器病学会指導施設、日本内視鏡学会指導施設、日本肝臓学会認定施設

スタッフ紹介

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