外科・消化器外科

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地域の先生方へ（診療科の特徴）

奈良県西和医療センターは奈良県地域がん診療連携支援病院の指定を受けることを大きな目標としており、その中核である外科・消化器外科では西和地区の基幹病院としての役目を果たすべく、弛まぬ努力を続けております。手術日は月曜日から木曜日までの週4日、2022年まではコロナ禍の影響を受け手術件数が減少しましたが、その後は徐々に増加してきております（図1）。重症急性期治療を要する腸管壊死や腸管穿孔などの症例では、術後に集中治療室で臨床工学士の協力のもと持続緩徐式血液濾過透析（CHDF）やエンドトキシン吸着療法（PMX）管理を行える体制となっております。

当科の特徴として、専門性を考え、上部消化管は上野が、下部消化管は石川と樫塚が、肝胆膵は山戸が主に担当し、専攻医と治療に当たります。また従来から低侵襲手術を重視しており、内視鏡治療（早期大腸癌に対する内視鏡的粘膜下層切除術）から腹腔鏡手術、さらに高度進行癌まで一貫治療ができるように体制を整えております。腹腔鏡手術の施行については、数ある奈良県立医科大学消化器外科関連病院の中でも有数の施設として評価されるにいたっております（図2）。また、2023年12月に手術支援ロボットda Vinci（米国インテュイティブサージカル社製）が当センターにも導入されており、当科では2024年春から結腸切除、直腸切除、胃切除、肝切除に対して順次ロボット手術の適応を拡大いたしました。

当センターの基本理念は「患者さんを家族のように愛する　いい医療をより多くの患者さんへ」です。これまで当科では身体に優しく低侵襲治療とされる腹腔鏡手術の技術向上に努めてきました。手術件数が年々増加してきたのは、その取り組みが地域の方々に認めていただいてきているためと考えています。

主な診療内容

悪性疾患

2024年は31%が悪性疾患手術（上部消化管領域34例、下部消化管領域75例、肝胆膵領域26例、その他領域1例）、腹腔鏡手術施行率は50％でした。ロボット支援手術は下部消化管領域　例、肝胆膵領域　例を実施いたしました。

術前化学療法、術後補助療法が必要な症例は化学療法室（5ベッド設置）で、また切除不能再発癌や高度進行癌に対しては化学療法室あるいは入院での化学療法を積極的に行っており、その後に根治が期待できる場合にはサルベージ手術やコンバージョン手術を実施しております。Cancer Boardでよく検討し、諦めない治療が肝要と考えております。リハビリテーション部および緩和ケアチームとの連携体制の元で全例を対象に初診時から癌リハビリテーションの介入を行い、呼吸・嚥下・廃用防止に対する術前術後のケアも充実しております。

　大腸癌の治療の原則は明確で「限局している病変は切除する」、これに尽きます。早期癌に対しては内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）を行い、切除不能進行・再発癌でも最近の抗癌剤の進歩により手術のチャンスが生まれます。当センターではすべての大腸癌に最後まであきらめない治療を行うよう心がけています。

　胃癌は大腸癌と異なり、治療の原則は「最初の手術ですべての病変が切除できる」ことが重要になります。手術不能な高度進行癌でも、抗癌剤治療によって縮小させた後に手術を行うConversion surgeryを目標とします。

　実質臓器である肝臓癌の手術には消化管癌とは異なった技術が要求されます。当科には日本肝胆膵外科学会が認定した高度技能医が常勤しており、肝臓手術の件数が増加し、腹腔鏡下肝切除術も標準的に行えるようになりました。

　西和医療圏の基幹病院として、消化器内科、放射線科、麻酔科と緊密に連携を取り、緊急手術や他院で断られた困難な病気を受け入れる体制ができています。人口が増加している西和地区において、より良い高度な医療を提供できるよう、外科一同で頑張ってまいります。

※トップページから一般の方を対象としたコンテンツをご覧いただければ、「疾患と治療」の項目で疾患ごとの治療について説明しておりますのでご参照ください。

良性疾患

2024年は74%が良性疾患手術（鼠径部ヘルニア89例、胆嚢疾患96例、虫垂炎24例、肛門疾患46例など）、腹腔鏡手術施行率は52％でした。単孔式腹腔鏡手術を導入してから10年以上が経過し、良性疾患への対象を基本として2024年は25例に行いました。

鼠径部ヘルニアに対しては径鼠径管法（クーゲル法やメッシュプラグ法）と腹腔鏡手術を行っております。虫垂炎は22例（92％）に対して腹腔鏡手術を実施し、胆嚢疾患に対しては93例（97％）で腹腔鏡手術を実施いたしました。肛門疾患（直腸脱、内痔核、裂肛、痔瘻など）では手術だけでなく内痔核硬化療法も数多く行い、2024年は15例に実施いたしました。食道裂孔ヘルニアや直腸脱などの高齢者に多くみられる組織逸脱疾患に対しては腹腔鏡下修復手術を行い、腹膜炎や腸閉塞などに対する緊急手術も行っております。 　
※トップページから一般の方を対象としたコンテンツをご覧いただければ、「疾患と治療」の項目で疾患ごとの治療について説明しておりますのでご参照ください。

診療実績

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診療部門

主な診療対象疾患

悪性疾患

食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肛門管癌、十二指腸癌、小腸癌、虫垂癌、肝臓癌（転移性を含む）、胆嚢癌、胆嚢腫瘍（ポリープを含む）、膵癌、膵腫瘍、GIST、悪性リンパ腫、カルチノイド、神経内分泌腫瘍、皮下腫瘍（生検目的）、腹腔内腫瘍（生検目的）など

手術が必要な消化管疾患

胆石症、胆嚢炎、虫垂炎、消化管穿孔（食道、胃、十二指腸、小腸、結腸、直腸）、腸管憩室炎、腸閉塞（内ヘルニアを含む）、消化管捻転、炎症性腸疾患、結腸腺腫症など

ヘルニア

鼠経ヘルニア、大腿ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニア、臍ヘルニア、食道裂孔ヘルニア、閉鎖孔ヘルニア、横隔膜ヘルニアなど

肛門疾患

痔核、痔瘻、裂肛、直腸脱、肛門腫瘍など

検査部門

下部消化管内視鏡検査

主な手術

悪性疾患

食道亜全摘術（胸腔鏡下）、幽門側胃切除術、胃全摘術、噴門側胃切除術、結腸切除術、直腸切除術、直腸切断術、大腸亜全摘術、人工肛門造設術、小腸部分切除術、肝部分切除術、膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術など

良性疾患

虫垂切除術、鼠経ヘルニア手術（径鼠径管法、腹腔鏡手術）、胆嚢摘出術、腸閉塞手術、痔核手術（内痔核硬化療法、痔核切除術）など

施設認定

• 日本外科学会認定医制度修練施設
• 日本消化器外科学会専門医修練施設
• 日本がん治療認定医機構認定医研修施設
• 大腸癌研究会参加施設
• 日本大腸肛門病学会認定施設
• 日本胃癌学会認定施設

スタッフ紹介