産婦人科からのお知らせ
お知らせはありません
地域の先生方へ(診療科の特徴)
ごあいさつ
産科婦人科医学は、「産科医学(周産期医学)」、「腫瘍医学(良性・悪性)」、「生殖内分泌医学」の3つの分野と、これら全ての分野と関連しあう「女性医学(女性ヘルスケア)」から成り立っています。
そして産婦人科医は、女性のライフステージ全般、すなわち思春期から老年期に至るまでの医療と健康管理に携わっています。奈良県西和医療センター産婦人科では、これら4分野の全ての診療を行っています。一方で、医学の急速な発展と患者ニーズの高まりに対応するためには、利便性だけでなく高度な専門性を持つことが重要です。そのため、奈良県総合医療センター産婦人科との医療連携・一体化を図り、両院における専門分野を有するスタッフが兼務しあうことで、専門的診療の質の更なる向上を常に目指しています。
私たちは、西和地域のみならず、広く県民の皆さんのお役に立てるように努めて参ります。今後ともよろしくお願い申し上げます。
産科診療
産科診療の集約化
2019年8月、「これまで以上に母子の安全・安心を高め、かつ質の高い産婦人科医療を提供する」ことをモット-に、奈良県立病院機構を構成する奈良県総合医療センター(以下県総合)と奈良県西和医療センター(以下西和)の間で、産科診療を統合いたしました。この医療統合システムでは、両院間において相互の電子カルテがオンライン接続されることで、診療情報を共有することが可能となりました。当科は分娩取り扱いを中止しましたが、「妊婦健診を西和で行い、分娩管理を県総合が担当し、そして産後健診および新生児健診は再び西和で行う」ために、妊婦健診、産後健診および新生児健診(小児科)はこれまでと同様に行っております。
当科での産科診療のメリット
当科では、正常経過の妊婦健診だけではなく、他科との院内連携により内科合併症を有する産科管理も可能な限り行っております。また、重症合併症妊婦の管理や母児の緊急時には、県総合周産期母子医療センターがいつでも迅速に対応しますので、患者さんには安心して西和での健診を受けていただけます。産科統合後、多くの方が無事出産を終え、母児ともに西和での産後ケアを受けておられます。
婦人科診療
外来診療
一般的な婦人科の他に、専門外来として腫瘍外来(金曜日午前 担当:喜多)と、女性ヘルスケア外来(木曜日午後 担当:春田)を設置しています。腫瘍外来では、①主に悪性症例に対して迅速に検査・診断を行い、②適切な治療方針を患者さんに提示して、③県総合と協力して治療を進めます。女性ヘルスケア外来では、骨盤臓器脱(性器脱)や更年期障害に対する診療を行い、女性のすべてのライフステージのQOL向上に努めます。また、婦人科がん検診を積極的に実施し、西和地域の子宮がんや卵巣がんなどの早期発見に貢献いたします。
手術
オーソドックスな開腹手術の他に、腹腔鏡手術、子宮鏡手術、腟式手術を積極的に行っています。緊急症例に対しては、症例毎に重症度、緊急度を評価し、診療状況に応じて当科あるいは県総合で対応します。
診療内容
産科
一般産科診療
妊婦さんに対して、内診、超音波検査、血液検査、助産師による指導・アドバイスを適切なタイミングで行います。産科的な異常を認めた場合には県総合での外来・入院管理を行います。
当科では、連携施設である県総合以外の県内外施設で分娩(いわゆる“里帰り分娩”)をされる妊婦さんの妊婦健診も行っています。
合併症妊娠
内科合併症を有する症例に対しては、院内各科および県総合と連携してできる限り対応いたします。
胎児超音波スクリーニング外来
児の先天異常の自然発生率は、約3-5%といわれています。胎児期に超音波検査で診断することで、出生後(もしくは胎児期から)スムーズに治療を開始でき、児にとってよりよい結果が期待できる疾患もあります。当科では、妊婦健診を受診されているすべての妊婦さんを対象として、胎児超音波スクリーニングを実施しています。
産後ケア
県総合で出産され、再び西和に戻られた母児に対して、当科助産師がきめ細やかな産後ケアを行います。新生児健診は当院小児科が担当し、西和地域の乳幼児医療へのスムーズな橋渡しをいたします。また、当院助産師が、近隣在住者を対象とした産後訪問ケアを通して、切れ目のない子育て支援を目的とした地域の母子健康事業に参画しています。
婦人科
悪性腫瘍
他分野の悪性腫瘍と同様に、婦人科がんの診療においても早期発見が重要であることは言うまでもありません。婦人科がん検診は子宮頸がんを対象としており、子宮体がんおよび卵巣がんは対象ではありません。しかし、子宮頸がん検診の際に、早期の子宮体がんおよび卵巣がんを見つけることができます。当科では、婦人科がん検診を積極的に実施し、西和地域における婦人科がんの早期発見に貢献いたします。近年、婦人科オンコロジー領域では腹腔鏡下手術やロボット支援手術が広がっています。当科は、悪性腫瘍の治療について可能な限り対応いたしますが、拡大手術、先進的手術や集学的診療の該当症例については、医療連携施設である県総合で治療を行います。
良性腫瘍
婦人科の特徴として、手術対象となる子宮筋腫、卵巣嚢腫をはじめとした良性腫瘍症例の多いことが挙げられます。当科では、患者さんへの丁寧な説明を行い、診療方針を十分に納得して頂いた上で治療・管理方針をチョイスしていただくことを徹底しております。低侵襲手術の該当症例については、安全性に留意しつつ積極的に腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術、腟式手術などを行っています。
女性内分泌疾患
無月経、月経過多、月経困難症(月経痛)、月経不順、不正性器出血など月経異常を主訴として来院される女性は非常に多いです。月経異常は内分泌異常と関係していることが多く、LEP(low dose estrogen progestin)などの女性ホルモン製剤による内科的治療を中心に行います。
子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮内膜あるいはその類似組織が何らかの要因で子宮腔以外の箇所に発生する疾患で、エストロゲンの作用で増殖し、月経血成分の貯留や内性器と周辺組織との癒着を引き起こします。子宮内膜症は月経困難症、性交痛、慢性骨盤痛などとの関連があり、多くの女性のQOLを著しく低下させています。また、卵黄子宮内膜症(チョコレート嚢胞)はがん化のリスクが知られており、慎重なフォローが必要です。当科では、病状や患者のニーズに対して、内科的療法(対症療法・ホルモン療法)および外科的療法(内視鏡手術)を提案いたします。
更年期障害
更年期障害は、更年期に現れる多種多様な症状で日常生活に支障をきたす病態です。主な原因は卵巣機能の低下で、それに加えて加齢に伴う身体的変化、精神的・心理的な要因、社会文化的な環境因子が影響することにより症状が発現するとされています。更年期障害の症状には、倦怠感、肩こり、認知機能低下(物忘れなど)、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、発汗、不眠、不安、抑うつなど非常に多くの種類があります。診断の際には、内科疾患、精神疾患などの除外が重要で、思わぬ疾患が隠れていることがあります。薬剤による治療法として、HRT(ホルモン補充療法)や漢方療法を行います。
骨盤臓器脱
骨盤臓器脱は、膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤、腟断端脱(子宮摘出後)など、骨盤内臓器の下垂・脱出と腟の弛緩・外翻の総称です。原因として、妊娠・出産、年齢、重労働、便秘、重度の咳嗽などによる骨盤底筋群の脆弱化や損傷が挙げられます。治療法には、リングペッサリーによる非観血的整復、手術療法、対症的管理(矯正下着など)があります。骨盤臓器脱は臓器脱出による違和感や過活動膀胱(OAB)、排尿障害、尿失禁などの下部尿路機能障害を伴うQOL疾患です。当科では骨盤臓器脱がQOL疾患であることを重視し、まず患者に対して疾患と治療法についての説明を丁寧に行い、患者本人に治療方針を選択していただいています。リングペッサリー療法は比較的簡便な治療法ですが、適切な管理を怠れば、逆にQOLを著しく低下させてしまう可能性があります。そのため、患者さんの様々な背景を考慮して無理のない管理を心がけています。術式は、旧来から広く行われてきた腟式子宮摘出術+腟壁形成+会陰形成に加えて、腟断端仙骨子宮靱帯固定術(Shull法)併施を標準術式としています。また症例により、完全腟閉鎖術や、ポリプロピレンメッシュを使用した腹式仙骨腟固定術(ASC)を行っています。
診療実績
【2020年度手術実績】
術式 | 手術件数 |
---|---|
腹式子宮全摘術 | 9 |
開腹手術(子宮全摘術以外) | 6 |
腹腔鏡下子宮全摘術 | 3 |
腹腔鏡下手術(卵巣のう腫等) | 15 |
骨盤臓器脱手術(Shull法) | 6 |
骨盤臓器脱手術(その他術式) | 3 |
子宮頸部円錐切除術 | 14 |
子宮頸手術 | 6 |
その他 | 10 |
合計 | 72 |
更新日
2023年6月1日
診療部門
主な診療対象疾患
産科
妊婦健診、産後健診、合併症妊娠
異所性妊娠(子宮外妊娠)、妊娠悪阻、流産、切迫流早産など
※人工妊娠中絶は原則行っておりません。
婦人科
子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、外陰がん
子宮頸部異形成、子宮内膜増殖症
子宮筋腫、卵巣のう腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、絨毛性疾患(胞状奇胎など)
女性内分泌疾患(月経異常、不正出血など)、子宮内膜症
骨盤臓器脱(性器脱)、更年期症候群、下部尿路機能障害(過活動膀胱など)
骨盤内感染症、性感染症(STI)
スタッフ紹介
喜多 恒和
医学博士
統括部長
専門分野
婦人科腫瘍学
産婦人科感染症学
HIV母子感染
専門医
日本産科婦人科学会専門医・指導医
日本専門医機構産婦人科専門医
日本婦人科腫瘍学会専門医・指導医
日本周産期・新生児医学会周産期専門医暫定代表指導医(母体・胎児)
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
春田 祥治
医学博士
部長
専門分野
女性骨盤底医学
更年期医学
静脈血栓塞栓症
専門医
日本産科婦人科学学会専門医・指導医
日本専門医機構産婦人科専門医
日本女性医学会認定医
母体保護法指定医
日本女性医学会女性ヘルスケア専門医
細川 奈月
医学博士
医長
専門分野
腹腔鏡下手術
女性スポーツ医学
学会/認定
日本産科婦人科学会専門医・指導医
日本専門医機構産婦人科専門医
母体保護法指定医
日本体育協会公認スポーツドクター
佐道 俊幸
医学博士
非常勤
専門分野
周産期医学
遺伝診療
出生前診断
更年期医学
専門医
日本産科婦人科学会専門医・指導医
日本専門医機構産婦人科専門医
日本周産期・新生児医学会周産期専門医・指導医(母体・胎児)
日本超音波医学会超音波専門医・指導医
日本女性医学会女性ヘルスケア専門医・指導医、臨床遺伝専門医
日本胎児心臓病学会胎児心エコー認証医
日本抗加齢医学会専門医
日本性感染症学会認定医
インフェクションコントロールドクター(ICD)
母体保護法指定医
杉浦 敦
非常勤
専門分野
婦人科腫瘍学
産婦人科感染症学
HIV母子感染
専門医
日本産科婦人科学会専門医・指導医
日本専門医機構産婦人科専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
ダヴィンチ(ロボット手術)第一助手 サーティフィケート
谷口 真紀子
非常勤
専門分野
婦人科腫瘍学
専門医
日本産科婦人科学会専門医・指導医
日本専門医機構産婦人科専門医
日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
吉元 千陽
医学博士
非常勤
専門分野
周産期医学
遺伝診療
専門医
日本産科婦人科学会専門医・指導医
日本超音波医学会超音波専門医
日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)
臨床遺伝専門医
母体保護法指定医
伊東 史学
医学博士
非常勤
専門分野・研究分野
婦人科腫瘍学
腹腔鏡下手術
ロボット手術
専門医
日本産科婦人科学会専門医・指導医
日本専門医機構産婦人科専門医
日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡認定医
日本ロボット外科学会専門医
母体保護指定医、ダヴィンチ(ロボット手術)術者 サーティフィケート
石橋 理子
非常勤
専門分野
周産期医学
産婦人科感染症学
専門医
日本産科婦人科学会専門医
日本専門医機構産婦人科専門医
日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
母体保護法指定医
渡辺 しおか
非常勤
専門分野
産婦人科一般
専門医
日本産科婦人科学会専門医
母体保護法指定医