腎臓内科からのお知らせ
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地域の先生方へ(診療科の特徴)
国民病となった慢性腎臓病は治療法が大きく進歩しています
2022年末には日本全国の維持透析患者数が約35万人でピークを迎えました。しかしながら、多くの患者さんが透析を必要としている現状には変わりありません。これは、慢性腎臓病が依然として多くの人々に重大な影響を及ぼしていることを物語っています。
慢性腎臓病(CKD)という概念が提唱されてからは、末期腎不全にいたる前にできるだけ早期に腎機能異常を発見して的確な治療を行うことの重要性が再認識されています。加えて、以前には「腎臓の働きを回復させることは困難で徐々に悪化するだけ」と考えられてきた腎臓病は、現在では治療が可能な疾患へと少しずつ変化しています。早期発見・早期治療により腎不全の進行を遅らせることができ、透析療法の開始を先延ばしするだけでなく、腎臓病そのものの治癒を期待できる時代となってきました。また、慢性腎臓病そのものが脳梗塞・心筋梗塞などに代表される心血管病の強い危険因子となっています。このため慢性腎臓病の治療が心血管疾患の予防対策としても重要視されています。
県下最高の腎臓病診療を提供します
当科では腎臓の『ゆりかごから墓場まで』、すなわち無症状の検尿異常の状態から腎臓病の早期診断に積極的に取り組み、早期腎炎から急性腎障害、慢性腎臓病、末期腎不全・透析医療に至るまで包括的な治療・管理を行っています。また、当科では腎疾患を合併した膠原病の精査治療も積極的に行っています。当院は急性期病院でもあることから、アフェレシス・血漿交換療法など様々な種類の急性血液浄化療法を必要とする患者さんに遅滞なく提供できる体制を整えています。2020年以降は感染対策用透析室を設立し、様々な透析困難症例に対応しています。
当科スタッフは全員、腎臓・透析専門医または同専門医プログラム所属の医師です。日々最新知識を取り入れ日常診療に活用すると同時に、自ら得た知見を学会などで積極的に報告することで、県下トップクラスの腎臓診療をいつでも提供できるよう努力を続けております。
腎臓病をはじめ、生活習慣などで健康に不安のある患者さんやそのご家族の方には、どのようなお悩みにも誠実に対応させていただきますので、安心して受診いただければ幸いです。また、西和地区の医師の先生方には、これからも当科と連携していただくことで、地域医療に少しでも貢献できることを強く願っています。腎臓疾患、膠原病、高血圧症などでお悩みの患者さんがいらっしゃいましたらぜひご相談ください。地域の先生方のご期待に応えられるよう、誠実に対応をさせていただきます。
主な診療内容
慢性腎臓病(CKD)
CKDは末期腎不全のみならず心筋梗塞や脳卒中など重篤な心血管疾患の危険因子であり、日本人の8人にひとりが罹患している国民病の代表です。糖尿病性腎症や腎硬化症、痛風腎、薬剤性腎障害など、CKDのなかでも生活習慣に伴うものが増加しており、それらを含むすべての腎機能障害・腎臓病に対して最適な治療を行っています。近年、腎機能低下を抑制する薬剤が多数開発され、治療の選択肢が増えていますが、個々の患者さんへの最適な治療法をみつけることは複雑な状況になっており、新規薬剤がさらなる薬剤性の腎障害を引き起こすこともあります。当科のCKD診療では、主に腎機能低下の抑制と心血管疾患の予防に重点を置き、患者さんの個々に合わせて適切な薬物療法・食事療法・生活習慣改善を提供しております。
慢性腎臓病を初めて指摘された方や自宅での管理に不安をお持ちの患者さんには、教育・治療のための短期間入院を勧めています。入院が難しい患者さんとそのご家族向けに、年に2度の「腎臓病教室」も開催しております。
腎炎・ネフローゼ症候群
検尿異常から急性腎不全まで、腎炎やネフローゼ症候群が疑われる症例には積極的に腎生検を施行し、臨床所見と病理組織学的診断を合わせて最良の治療方針を決定します。当院での腎生検施行数は年間約40例で、検査の適応を正しく判断し、超音波ガイド下で安全に実施しています。活動性のある腎炎やネフローゼ症候群と診断された場合には、副腎皮質ステロイド剤や免疫抑制剤、血漿交換療法等による治療を積極的に施行しています。また、慢性腎炎の中でもっとも多いIgA腎症では、腎生検の結果をふまえ「口蓋扁桃腺摘出術とステロイド療法」を施行しています。治療を始める前に治療成績や副作用について時間を充分にとってわかりやすく説明するように心懸けています。
多発性嚢胞腎
当科では遺伝性疾患である常染色体顕性多発性嚢胞腎に対しても、トルバプタン処方をはじめとする専門治療を積極的に行っています。当科は多発性嚢胞腎協会に所属するPKD認定医が2名在籍しており、県内でも安心・信頼できる医療を提供しています。
膠原病に伴う腎疾患
膠原病をはじめとする自己免疫性疾患の多くは腎機能障害を引き起こすため、多くの膠原病の診断・治療は、私たちの科が得意とする診療のひとつです。膠原病を疑われた患者さんは当科へ御紹介ください。適切な免疫抑制療法を行うと共に、難治性の症例に対しては血漿交換や免疫吸着療法などの様々な血液浄化療法を実施することができます。
腎代替療法(末期腎不全・透析療法)
治療を行っても残念ながら腎不全が末期に近付いてきた患者さんには、腎代替療法が必要となります。腎代替療法には血液透析、腹膜透析、腎移植がありますが、当院では血液透析と腹膜透析を導入しています。腎代替療法の選択には医師、看護師をはじめとする多職種連携を行い、患者さんやご家族の希望や生活習慣などを十分に考慮した協働的意思決定(Shared Decision Making: SDM)によって、最適な治療法を選択し、準備から導入までを行っています。腎代替療法導入には安全に、かつできるだけ短期間の入院期間で社会復帰していただきます。
一般的な腎代替療法だけでなく、前述の自己免疫疾患や敗血症、消化器疾患などに対して、血漿交換療法や免疫吸着療法などあらゆる血液浄化を行っております。現在は、血液透析療法を月水金、火木土いずれも午前(8:30~)、午後(13:00~)の2クールで行っております。当院は地域の基幹病院であることから、24時間いつでも緊急時の血液浄化に対応できるように体制を整えております。最近は残腎機能保護に優れかつ患者さんのADL改善も大きく期待できる腹膜透析療法にも積極的に取り組んでおり、当院における腎代替療法選択の30%近くを占めています。
診療実績
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|
入院患者数 | 4,881 | 3,968 | 5,227 |
新入院患者数 | 334 | 288 | 363 |
平均在院日数 | 15 | 15 | 11.1 |
紹介率 | 58% | 51% | 59.3% |
逆紹介率 | 132% | 97% | 122.9% |
初診患者数(入院) | 34 | 21 | 21 |
初診患者数(外来) | 229 | 256 | 306 |
外来患者数 | 8,066 | 7,946 | 8,216 |
経皮的腎生検件数 | 27 | 34 | 41 |
血液透析導入件数 | 40 | 48 | 43 |
腹膜透析導入件数 | 3 | 6 | 11 |
診療部門
主な診療対象疾患
検尿異常(蛋白尿・血尿)、慢性腎臓病(CKD)、急性・慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、続発性腎臓病(糖尿病性腎症など)、尿細管・間質性腎炎、急性腎障害、多発性嚢胞腎、電解質異常、酸・塩基異常、血管炎、全身性エリテマトーデス、その他膠原病や不明熱など
検査部門
エコーガイド下腎生検、腎レノグラム、腎血管エコー、シャントエコー、腹部エコー検査、腹部CT検査、24時間血圧自由行動下血圧など
スタッフ紹介
森本 勝彦
腎臓内科部長
人工透析室長
臨床研修医支援室長
臨床研修プログラム責任者
専門分野
腎臓疾患全般
腎代替療法
糖尿病性腎症
各種血管炎
腎疾患を合併する膠原病
一般内科
専門医
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医・近畿支部評議員
日本腎臓学会認定腎臓専門医・指導医・評議員
日本透析医学会認定透析専門医・指導医
日本プライマリケア連合学会認定医・指導医
多発性嚢胞腎協会PKD認定医
日本内科学会認定JMECCインストラクター
日本救急医学会認定ICLSコースディレクター
日本静脈経腸栄養学会TNT研修会修了
京都大学(現名古屋大学)FCME修了
岐阜大学医学教育開発研究センターフェロー
厚生労働省認定臨床研修指導医
Fellow of the International Society of Nephrology
(FISN, 国際腎臓学会上級会員)
Fellow of the American College of Physicians
(FACP, 米国内科学会上級会員)
板野 明子
医長
専門分野
腎臓疾患全般
血液浄化療法(透析 血漿交換など)、
腎疾患を伴う膠原病や血管炎などの自己免疫疾患
一般内科
専門医
日本内科学会認定内科医
日本腎臓学会認定腎臓専門医
日本透析医学会認定透析専門医
多発性嚢胞腎協会PKD認定医
腎代替療法専門指導士
日本内科学会認定JMECCインストラクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
加知 直樹
医員
専門分野
腎臓疾患全般
一般内科
専門医
日本内科学会 専門医機構認定内科専門医
日本腎臓学会会員
日本透析医学会会員
松田 悠里
医員
専門分野
腎臓疾患全般
一般内科
専門医
日本内科学会会員
日本腎臓内科学会会員
日本透析医学学会会員
木下 舜一
専攻医
専門分野
腎臓疾患全般
一般内科
糖尿病
内科一般
専門医
日本内科学会会員
日本糖尿病学会会員
日本透析医学学会会員
安田 由利子
専攻医
専門分野
腎臓疾患全般
一般内科
専門医
日本内科学会会員
日本腎臓学会会員
日本透析医学会会員