心臓血管外科からのお知らせ
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地域の先生方へ(診療科の特徴)
当院心臓血管外科は1993年10月に診療を開始し、2022年4月現在までに、約2950例の心臓血管疾患の手術を行ってきました。その主な内訳は、冠動脈バイパス術等の虚血性心疾患に対する手術880例、弁形成術・弁置換術等の心臓弁膜症に対する手術650例、大動脈瘤や大動脈解離等に対する大血管手術640例、下肢閉塞性動脈硬化症等に対する末梢血管手術780例です。
当院では、当初から心臓血管外科と循環器内科が連携し、24時間体制で循環器疾患患者の対応を行っており、手術適応と診断した場合は迅速に手術を行うようにしています。また、心臓血管外科を受診した内科的疾患の場合でも、適切に対応しています。
あらゆる心臓血管疾患に対する対応
心臓血管疾患の治療は、近年では外科手術だけではなく、カテーテル治療による治療も求められています。特に血管疾患では、大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術や下肢閉塞性動脈硬化症に対するステント留置術、血管拡張術を行うことで、今まで外科手術が困難であった高齢者や合併症を有する患者に治療を行えるようになりました。また、外科手術とカテーテル治療を組み合わせることで、より効果的で侵襲が少ない治療を行えるようになりました。
また、心臓手術では低侵襲である右小切開で行う開心術(MICS)を奈良県でいち早く導入し、手術症例も順調に増加しています。
24時間体制での緊急手術の受け入れ
循環器内科と連携し、24時間体制で緊急手術の受け入れを行っています。
主な診療内容
当科では、あらゆる心臓血管疾患の治療を行っています。虚血性心疾患、いわゆる心筋梗塞、狭心症に対しては、冠動脈バイパス術を行います。心臓弁膜症に対しては、人工弁を用いた弁置換術や痛んだ弁を修復する弁形成術を行います。
大動脈瘤に関しましては、人工血管置換術やステントグラフト内挿術を行います。外科手術とカテーテル治療を組み合わせるハイブリッド手術で侵襲を少なくして行うこともあります。
下肢閉塞性動脈硬化症に関しましても、病変の部位や適応を考えてバイパス手術やカテーテル治療を選択して行っています。大動脈瘤と同様にハイブリッド手術を行い、より効果的な治療を行っています。
下肢静脈瘤手術は、年々増加しています。血管内焼灼術や血管内塞栓術を日帰りで行っています。
狭心症・心筋梗塞に対する外科治療
心臓血管外科専門医が迅速に対応し、早期に手術が必要な場合は、緊急手術にも対応しています。総合的に判断し、人工心肺を用いて心停止下もしくは心拍動下でのバイパス手術を選択しています。
弁膜症に対する外科手術
大動脈弁狭窄症
近年、高齢者の大動脈弁狭窄症の手術症例は増加傾向で、生体弁を用いた大動脈弁置換術を行っています。
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症に対しては、できる限り自己弁を温存し、人工弁を用いない弁形成術を行っています。
大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、三尖弁閉鎖不全症
弁膜症の原因に合わせて、適切に判断し、弁置換術や弁形成術を行っています。
心房細動
弁膜症に合併することが多く、弁膜症手術と同時にメイズ手術を行い、正常なリズムに戻します。これにより脳梗塞のリスクを減らすことができます。
弁膜症では適応を満たせば、右の胸の下を小さく切り、胸骨を切らずに行う低侵襲心臓外科手術(MICS)を行っています。骨を切らないため、回復が早く、早期に社会復帰ができます。引き続き、安全を第一に適応を広げていきたいと思っています。
その他の心臓手術
心房中隔欠損症、心臓腫瘍の手術も行います。最近では、MICSで行うことが多く、入院期間も短くなっています。
動脈瘤に対する治療
胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤:主に動脈硬化が原因となり、大動脈が拡大していきます。症状はないことがほとんどですが、破れると致命的となります。これに対しては、人工血管置換術、ステントグラフト内挿術を行い、破裂を予防します。近年では、90歳前後の高齢者の治療が増えたこともあり、侵襲の少ないステントグラフト内挿術が多くなっています。
外科治療とカテーテル治療の組み合わせて行うことで、今までは高齢や合併症を有することで治療困難であった場合でも治療が可能となってきました。
急性大動脈解離:多くの場合が緊急手術の適応であり、迅速に受け入れています。
下肢閉塞性動脈硬化症に対する手術
下肢の痺れ、疼痛、歩行時の下肢の倦怠感は血管の狭窄や閉塞が原因となっていることがあり、これに対してはバイパス手術、カテーテル治療を行い、血流を改善させます。
バイパス手術では静脈を用いて、閉塞部位の先に血液を流します。特に足関節から末梢へのバイパス手術は増加しています。切断を回避し、足を残せるよう努めています。
カテーテル治療は身体への負担が少なく、短期間の入院で治療ができます。
血管の病変によって、それぞれの利点を生かして、治療を行っています。同時に行うことで、より効果的に、より侵襲が少ない治療を行うこともできます。
急性動脈閉塞に対する外科治療
心房細動などが原因となり、突然四肢の血管が血栓により閉塞し、血流が低下することがあります。これは緊急手術の適応となり、迅速に対応させて頂きます。
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤手術は年々増加しています。治療の適応は、むくみ、だるさ、かゆみ、こむら返り等の症状や外見的理由になります。
治療は局所麻酔下にカテーテル治療を行っています。熱で血管を処理する血管内焼灼術、接着材で血管を詰める血管内塞栓術があります。年齢や静脈の走行などから、それぞれの利点を生かして使い分けていますが、どちらも身体への負担は少なく、日帰りで行っています。
診療実績
手術 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|
手術総数 | 194 | 239 | 215 | 217 |
心臓大血管手術 | 99 | 73 | 85 | 83 |
末梢血管手術 | 73 | 125 | 121 | 130 |
その他 | 22 | 41 | 9 | 4 |
診療部門
主な診療対象疾患
- 虚血性心疾患:冠動脈バイパス術、心筋梗塞合併症に対する左室形成術、心室中隔穿孔閉鎖術など
- 心臓弁膜症:弁形成術、弁置換術など
- 大動脈疾患:大動脈瘤に対する人工血管置換術、ステントグラフト内挿術、急性大動脈解離に対する緊急手術等
- 末梢動脈疾患:下肢閉塞性動脈硬化に対する血行再建術、末梢動脈瘤に対する手術、下肢静脈瘤手術など
施設認定
日本外科学会外科専門医制度修練施設、日本循環器学会認定循環器専門医研修施設、日本胸部外科学会認定医制度指定施設、三学会構成心臓血管外科専門医認定機構基幹施設、日本脈管学会研修指定施設、胸部ステングラフト実施施設、腹部ステントグラフト実施施設、浅大腿動脈ステントグラフト実施施設、下肢静脈瘤血管内治療実施施設
スタッフ紹介
田村 大和
医学博士
部長
専門分野
心臓血管外科全般
専門医
心臓血管外科専門医・修練指導者
外科専門医・指導医
循環器専門医
脈管専門医
血管内治療医
腹部ステントグラフト実施医・指導医
浅大腿動脈ステントグラフト実施医
下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医・指導医
VenaSealクロージャーシステム実施基準教育プログラム終了
弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター
医師臨床研修指導医
花川 傑
専攻医
専門分野
心臓血管外科全般
専門医
日本外科学会会員
日本胸部外科学会会員
日本心臓血管外科学会会員
細野 光治
非常勤
専門分野
心臓血管外科
低侵襲心臓手術
専門医
循環器専門医
日本外科学会専門医・指導医
心臓血管外科専門医・修練指導医
脈管専門医