乳腺外科からのお知らせ
地域の先生方へ(診療科の特徴)
令和4年10月から乳腺外科が開設されました。令和4年9月まで大阪公立大学医学部附属病院(旧大阪市立大学)で乳腺外科病院教授・診療部長を務めていた高島が担当します。
乳腺外科では乳癌をはじめとした乳房の疾患を担当します。乳癌以外にも良性の乳腺腫瘍や乳腺膿瘍も診療の対象となります。
乳癌に関しては乳癌検診などで要精検と判定された方の精密検査、乳房の自覚症状がある方の診断、乳癌と診断された方の手術や薬物療法などの初期治療、手術不能な進行乳癌や術後の再発に対する治療、そして乳癌末期の患者に対する緩和ケアまで広い範囲の対応を行います。また、他院で乳癌と診断された方やすでに治療中の方のセカンドオピニオンもお受けします。
乳癌以外の良性腫瘍や乳腺症に関しても、癌との鑑別診断や経過観察、必要に応じて切除手術を行います。
乳房や腋窩の腫瘤、乳頭分泌物、乳房痛などがある方がいらっしゃればはお気軽にご紹介ください。
また最近は出産年齢が遅くなってきたことから、妊娠期の乳癌が増加しています。当科では妊娠20週までの妊婦さんを対象に、胎児に影響がない超音波検査での乳癌検診を実施しております。特に30代以降の妊産婦の方にはお勧めいたします。
乳癌の手術では、可能な限り乳房温存手術を行っており、腋窩に関してはセンチネルリンパ節生検を用いて腋窩への侵襲を可能な限り避ける術式を積極的に行っています。乳房切除が必要な場合にも、患者さんの希望があれば形成外科と共同で乳房切除と同時に乳房再建を行うことも可能です。
術前術後の化学療法、分子標的療法やホルモン療法も、腫瘍のサブタイプに合わせてエビデンスに基づいた治療を行います。
ホルモン受容体陽性乳癌に対しての術後薬物療法としては抗エストロゲン剤やアロマターゼ阻害剤によるホルモン療法を5〜10年間行うことになりますが、この処方は可能であれば病診連携として地域のかかりつけ医の先生にお願いできればと考えております。当院では6ヵ月毎の受診で再発のチェックを行い、その間の薬剤投与と副作用のチェックを地域の先生方の日常診療のなかで行っていただけると大変助かります。もちろん何らかの異常を感じた場合には、お知らせ頂ければすぐに当院での診察を行うように致します。
一方で、手術不能の進行乳癌や術後再発乳癌に関しては、完治をめざすことは困難なため、可能な限りQOLを維持しつつ生存期間を延長することを目標として、癌の進行を押さえるための薬物治療を中心とした集学的治療を、エビデンスと個々の患者さんの全身状態、社会的背景や希望を勘案しつつ立案していきます。
乳癌以外にも良性の乳腺腫瘍の経過観察や必要に応じて切除などの治療を行います。また乳房痛などいわゆる乳腺症の変化についても経時的な観察を行っていきますので、乳房の症状を訴えられる患者さんがいらっしゃればご遠慮なくご紹介ください。
この地域の乳腺診療を充実させ、地域の住民の皆様や先生方のお役にたてるよう精一杯頑張る所存ですので、よろしくお願い申し上げます。
主な診療内容
乳癌検診、検診要精査者の精検
乳癌初期治療(手術、周術期薬物療法)
再発および手術不能乳癌に対する薬物療法
乳腺良性腫瘍の経過観察、手術
乳腺症など乳腺良性疾患の経過観察
乳腺炎、乳腺膿瘍の治療
診療実績
令和4年10月〜令和5年4月まで
乳癌手術 26件 | |
---|---|
乳腺部分切除+センチネルリンパ節生検 | 12件 |
乳房切除+センチネルリンパ節生検 | 8件 |
乳房切除 | 2件 |
皮下乳腺全摘+センチネルリンパ節生検,一期的乳房再建 | 2件 |
皮下乳腺全摘+腋窩リンパ節郭清,一期的乳房再建 | 2件 |
乳腺良性腫瘍手術 5件 | |
---|---|
線維腺腫 | 2件 |
乳管内乳頭腫 | 2件 |
乳管腺腫 | 1件 |
画像ガイド下乳腺腫瘍吸引術 5件 | |
---|---|
悪性 | 2件 |
良性 | 3件 |
更新日
2023年6月1日
診療部門
主な診療対象疾患
乳癌
乳腺良性腫瘍
葉状腫瘍、線維腺腫、乳管内乳頭腫、女性化乳房など
乳腺良性疾患
乳腺症関連病変、乳輪下膿瘍、乳腺炎など
表在リンパ節腫大(腋窩、頸部、鼠径部など)
診療設備
デジタルマンモグラフィー撮影装置
撮影時の痛みを緩和するように、乳房の圧迫を自動で減圧制御するComfort Comp機能「なごむね」を搭載した最新装置を設置しております。
超音波検査装置
通常のBモード検査に加え、カラードプラ、パワードプラ、エラストグラフィのモダリティーを駆使して診断をおこないます。
針生検
16Gのディスポーザブルコアニードルを用いた生検を行います。外来診察室で局所麻酔下に行います。
画像ガイド下乳腺腫瘍吸引術
コアニードルより太い12-14Gの穿刺針を用いて大量の組織を吸引する技術です。乳腺症と非浸潤癌の鑑別などに威力を発揮します。ほとんどの場合は外来で局所麻酔下に施行可能です。保険上は手術に分類され、生命保険などの手術給付対象になります。
施設認定
- 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会エキスパンダー/インプラント実施施設
- 日本乳癌学会関連施設
スタッフ紹介
高島 勉
部長
専門分野
乳腺
専門医
日本外科学会指導医、専門医
日本乳癌学会指導医、乳腺専門医
日本臨床腫瘍学会指導医、がん薬物療法専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
日本消化器外科学会認定医