頭のかたち外来
2023年7月より当院小児科で「頭のかたち外来」を開設させていただくこととなり、ご案内させていただきます。赤ちゃんの頭はやわらかく、頭が絶壁(短頭)、斜め(斜頭)の形にゆがむことがあります。頭の変形の原因のほとんどは向き癖などによる位置的頭蓋変形です。頭の変形は体位変換(体の向きを定期的に変える)や、お座りできるようになれば、改善してくることがほとんどです。変形が重度の場合、改善の程度が弱いことがあります。その改善策の一つにヘルメットによる頭蓋矯正治療が最近できるようになりました。ヘルメット治療が行える施設は最近増えてきてはいますが、限定的です。
ヘルメット治療とは
ヘルメットは、赤ちゃんの頭の形に合わせてオーダーメイドで設計します。日本では保険適応外のため、自由診療になります。保険適応外ですが、医療機器として承認されており、当院で使用するヘルメットは日本製のベビーバンドを扱っています。
ヘルメット治療の原理
頭の平らな部分にヘルメットで空間をつくり、平らな部分の成長を促します。平らになっていない頭蓋骨の成長を待機させ、平らな場所の成長が追いつくことで、頭のゆがみを改善することを期待するものです。ヘルメットで頭に外から圧力をかけてゆがんだ部分を変形させる治療ではありません。
ヘルメット使用について
- 治療開始適齢期 生後3-6か月。
生後6か月以降のヘルメット治療は効果が乏しいです。 - ヘルメット装着時間 目標1日23時間。
入浴時は外すこと可能です。 装着時間が短ければ効果が乏しくはなりますが、できる範囲で装着してください。休憩しながら、徐々に装着時間を増やしてください。風邪など体調が悪い時は、装着を外して、赤ちゃんの観察に努めてください。 - ヘルメット治療期間 2-6ヶ月あたり
- ヘルメットの注意点 皮膚炎
皮膚の赤み、擦過傷などの皮膚トラブルを起こすことがあります。トラブル時はヘルメットを外す期間の調整、外用薬、ガーゼ、パッドをつけたりなどで対応していきます。
受診方法
基本的には紹介での受診をお願いします。ヘルメット治療は頭のかたち外来でしか対応しておりません。紹介状がなく、直接受診も可能ですが、選定療養費の負担が発生します。
診察日 金曜日午後(13-15時)吉澤
診察の流れ
1. 初診:診察、3Dカメラで頭の撮影
3Dカメラで赤ちゃんの頭を撮影し、ゆがみの重症度を評価します。頭の変形は頭蓋骨早期癒合症などの病的変形のこともあり、必要に応じて画像検査を行うこともあります。結果説明のため次回外来の予約をとり、初診時にヘルメット治療について説明します。
2. 再診:結果説明とヘルメット作成の依頼
結果説明後に、ヘルメット治療の希望があれば、ヘルメット作成依頼。
オーダーメイドのため、約2週間かかります。
ヘルメット作成オーダー後から自由診療の開始となります
3. ヘルメット装着
治療効果・皮膚ケアを1か月毎に確認
治療期間 2-6か月
頭のゆがみについて
赤ちゃんの頭のゆがみの原因は、頭蓋骨早期癒合症を代表とする病的変形と、向き癖などによる位置的頭蓋変形があり、ほとんどの場合、位置的頭蓋変形です。
位置的頭蓋変形が起こりやすい理由は、赤ちゃんの頭は脳が大きく成長できるよう、やわらかくなっているため、胎児の時の姿勢、向きぐせなどにより頭の形がゆがみやすいと考えられています。向きぐせは長時間、同じ方向を向いて寝るので、頭蓋骨に一定の場所に圧力が偏り、頭がゆがみやすくなります。左右のどちらかに向きやすい場合は斜頭、真上を向く場合は短頭(絶壁頭)になりやすいです。
頭のゆがみの改善方法を下記に記します。頭の変形のすべてが、ヘルメット治療が必要なわけではありません。頭の変形の程度を評価し、ご家族の希望を聞き、治療、経過観察していきます。お子さんの頭の形が気になれば、受診し、ご相談していただければと存じます。
頭のゆがみの改善方法
1. 体位変換
定期的に体の向きを変える
寝ている時や授乳の時の頭の向きを交互に変えてあげる。バランスよく体の方向を変えてあげることで、赤ちゃんの頭の圧力が均等に分散され、頭のゆがみを防ぐことができます
2. タミータイム
保護者の方に見守られながら、うつぶせ(腹ばい)にすることをいいます。うつぶせは、頭の変形を予防し、首・背中・上半身の筋肉の発達を促します。方法として、お父さん・お母さんの胸・お腹の上でうつぶせや、床で赤ちゃんが顔を向いている方向を親が横になって観察があります。はじめは1回2-3分から開始し、1回の時間と、その回数を少しずつ増やしていき、1日60分間が目安です。
赤ちゃんのうつぶせは、必ず親が赤ちゃんを観察している時におこなってください。うつぶせの時、顔が埋もれて鼻や口が塞がれ、窒息するリスクがあり、注意してください。特に柔らかい敷き布団、マットレスや枕は、埋もれやすいことがあり、固いマットの上で行ってください。
3. ヘルメット矯正
関連ページ