起立不耐症(起立性低血圧・体位性頻脈症候群)

自律神経の働きが悪くなり、急に立ち上がった時に、脳や体の血液循環が一過性に悪くなる病気です。朝おきられない、立ちくらみ、めまい、倦怠感(しんどい)などを引き起こし、これらの症状は朝に多く、夕方は回復してくることが多いです。
一般に立ち上がった時は、重力の影響で脳の血流が低下するのを自律神経(交感神経・副交感神経)が調整して、脳の血流低下を防いでくれます。この自律神経の働きが悪いと、起立時に血圧低下もしくは心拍数が上昇することが病気のしくみです。 

自律神経のバランスが崩れやすい思春期に起こしやすく、そのバランス障害は成長とともに改善してくることも多いですが、体質的にアンバランスが持続する人もいます。 
自律神経のバランスが崩れやすい誘因となる理由は他にもあり、 

① 水分不足 
② 夜更かしして、睡眠不足 
③ 運動不足 

などがあります。
①~③は生活習慣を改善が必要で、水分を1日1.5L以上(できれば2L)、睡眠をしっかりとる。朝ご飯を食べる。塩分を多めにとる。散歩・自転車・水泳などの運動を適宜行うなどを行い、ふらつきなどの症状が改善しなければ薬剤投与を検討します。 

失神・立ちくらみの原因として心原生(心臓が原因)、てんかん、心因性偽失神(ヒステリー)、起立不耐症があります。最も多いのは起立不耐症です。 
当院では、まず問診で原因をしぼっていき、その鑑別を行うため、下記の検査を進めていきます。 

  • 心原生 心臓超音波検査・心電図 
  • てんかん 脳波・画像検査(MRIなど) 
  • 心因性偽失神(ヒステリー) 心身症の外来 
  • 起立不耐症 チルト試験  

ヘッドアップチルト試験(下記に説明あり)は、起立不耐症をタイプ別に診断する重要な検査です。起立不耐症は、主に起立性低血圧・体位頻脈症候群があり、このタイプ別に診断することで、治療薬(血圧を増やす薬、心拍数の上昇を抑える薬)を選択していきます。この病気は軽症では数か月で改善しますが、学校を休みがちな日常生活に支障がでている中等症では、1年後の回復率は約50%といわれています。治療に時間はかかることもありますが、症状は緩和でき、徐々に良くなります。 

さらに、起立不耐症は心身症(心理社会的因子で体の調子が悪くなること)を合併することもあります。上記の生活指導、薬物治療で改善が乏しい場合や心身症の要素が強い場合などあれば、心身症の専門と一緒に診ていくことになります。 

ヘッドアップチルト試験 

検査時間30分ほどかかり、ベッドで安静10分間行い、ベッドを斜めに立ち上げ20分間程度心拍数と血圧をモニタリングします。ふらつきが強い場合は途中でやめることがあります。 

関連ページ

PAGE TOP