川崎病

川崎病とは全身の血管に炎症を引き起こす疾患と言われ、日本人に多い疾患です。4歳以下の乳幼児にかかりやすく、日本で年間約1.5万人のこどもたちが発症するといわれています。炎症とは例えるなら体の中で火事がおこっている状況のことをいい、発熱や血管などの臓器にダメージを受けます。心臓を養う血管である冠動脈に炎症をきたすことが特徴で、冠動脈に炎症が強くなると、血管が膨らみ、冠動脈瘤の合併症を認めることがあります。 

1967年に川崎富作先生が初めて報告した病気で、その発見者の名前が病名になっています。原因はまだ特定できていなく、多くの原因が複雑に関与しているのではないかといわれています。原因として、細菌・ウイルスなどの感染症、免疫学的関与、アジア系人種に多いので遺伝的要因などが挙げられています。 

川崎病の症状

  • 長く続く発熱  
  • 目が赤く充血 
  • 口が赤く腫れる、イチゴ舌 
  • 首のリンパ節が腫れる   
  • からだにぶつぶつができる(発疹) 
  • 手足の先が腫れる 

左腕にあるBCG接種痕が赤くなることも特徴です。 

川崎病の診断基準は上記の症状がそろうことで診断が可能となりますが、非典型例の場合、必ずしも診断基準がそろわないことがあり、診断が難しいときがあります。 

治療

免疫グロブリンという血液製剤を1日かけて点滴投与します。免疫グロブリンは約8割の患者さんに有効といわれています。さらに免疫グロブリン投与前に免疫グロブリン不応予測スコア(免疫グロブリンが効きにくい)を計測し、それが高い場合は免疫グロブリンが効きにくい可能性があり、ステロイド投与の併用を行い、治療を強化します。 

これらの治療を行っても、免疫グロブリンが効きにくい方(免疫グロブリン不応例)が約2割認めます。免疫グロブリン不応予測スコアでステロイド投与を併用することで、不応例の発生頻度はさらに減ります。川崎病不応例の場合、いろいろな治療方法がガイドライン(小児循環器学会による川崎病急性期治療ガイドライン)で提唱されていますが、まだ確立されていません。当院では免疫グロブリンを再投与、レミケードなどの免疫抑制剤を使用します。どの治療法を選択するかは、病状により異なることがあり、ご家族に説明後に治療選択していきます。 

合併症

川崎病の合併症に冠動脈障害があります。川崎病は冠動脈に炎症をおこしやく、冠動脈が障害され、その血管の壁が弱くなります。炎症をおこした場所で血管が膨らみ、こぶができ、冠動脈瘤になるといわれています。小さい瘤は自然に小さくなり、正常な大きさに戻ります。しかし、炎症が強い場合、冠動脈瘤が巨大になり、冠動脈の血流の流れが悪くなり、血栓ができて、心筋梗塞になることが稀にあります。 

冠動脈の合併症は急性期に発症することが多いといわれており、入院中、心臓超音波検査にて繰り返し行います。また、退院後は冠動脈障害の後遺症がないかの確認を、定期的に心臓超音波検査を行うことが大切になってきます。 

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