腎癌について
腎臓の外側(腎実質といいます)にできる癌の総称で代表的なものに腎細胞癌が、まれなものに肉腫などがあります。
症状
癌が初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。そのため、小さな腎細胞癌は、健康診断や、他の病気が疑われたために行う検査などで偶然発見されるものがほとんどです。肺や骨、肝臓、脳に転移した癌が先に見つかり、詳しく検査した結果、腎細胞癌が見つかることもあります。
癌が大きくなると、血尿が出たり、背中・腰の痛み、腹部のしこりなどが生じたりすることもあります。
検査
腎細胞癌は多くの場合、腹部超音波(エコー)検査やCT検査で見つかりますが、診断のためには造影CT検査が最も有効です。何らかの理由で造影検査を行うことができない場合などにはMRI検査を行うこともあります。また、これらの画像検査で診断できない場合には、必要に応じて生検を行うこともあります。血液検査は、全身状態や腎臓の機能を調べるために行います。
治療
手術(外科治療)
転移のない腎細胞癌の治療は手術が第一選択となります。以前は腎摘除術が一般的でしたが近年の画像診断技術の向上に伴って、癌がまだ小さいうちに見つかることが多くなってきたため、腎温存手術(腎部分切除術)が多くなっています。
術式としては、従来の「開腹手術」から、おなかに開けた小さな穴から腹腔鏡を入れて行う「腹腔鏡手術(後腹膜鏡手術)」が一般的になっています。当院では手術用ロボットを用いて行う「ロボット支援手術」が可能です。術式の選択は癌の大きさや場所、患者さんの合併症などによって決まります。
1)腎部分切除術(腎機能温存手術)
癌が生じている部位の腎臓を部分的に切除する術式です。残った腎臓の機能を温存できるという利点があり、長期的な視点で見た時に、腎機能の低下とそれに伴う合併症への影響を小さくできます。主に4cm以下の小さな癌の場合に選択されますが、癌の位置などによっては選択できない場合があります。
2)腎摘除術(根治的腎摘除術)
癌のある側の腎臓をすべて取り除く術式です。主に4cm以上の大きな癌や癌が腎臓の中心部にある場合などに選択されます。片側の腎臓を摘出して腎臓が1つになったとしても、残った腎臓が正常に働いていれば、通常の生活に支障を来すことはめったにありません。
薬物療法
薬物療法は、手術で癌を切除することが難しい場合に行います。手術の前に、治療の効果を高める目的で薬物療法を行うこともあります。腎細胞癌の薬物療法では主に、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬という薬を用います。
薬物療法の副作用
分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬は、薬ごとにさまざまな副作用があらわれます。自分が受ける薬物療法について、いつどんな副作用が起こりやすいか、どう対応したらよいか、特に気をつけるべき症状は何かなど、治療が始まる前に担当医に確認しておきましょう。