呼吸器内科からのお知らせ
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診療科概要
4名の呼吸器内科常勤医で非常勤医1名とともに、週に5日毎日の外来診察と、入院対応をおこなっています。
外来担当表
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | |
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二診 | 田村 (午前) 中井 (午後) | 中 (午前) 杉村 (午後) | ||||
七診 | 田村 | 杉村 | 中村 |
疾患・治療
呼吸器内科では肺、気管の病気に対応します。症状は咳、痰、息切れ、胸痛などですが、これらの症状は肺の病気のことも、心臓のことも、腎臓や貧血からくることもあります。
- 咳:痰が絡むか、空咳か?1日でいつが多いか?また1年でいつが多いか?
- 息切れ:歩いたときか、安静にしているときか?
- 痰:色は白いか、黄色いか?切れやすいか、粘っこいか?
- 検診で胸部レントゲンに異常を指摘された場合:肺癌の可能性もありますが昔からの陰影で跡形かもしれません。以前のレントゲンはどうか?昔 肺浸潤や肋膜炎を患ったことは?
- 就寝中のいびきや呼吸停止は他人に指摘されないと気付きませんが、昼間の眠気は?朝の目覚めは良いか?
以上のような症状があれば、受診していただきき、レントゲン、CT、呼吸機能検査などで診断し、治療を進めていきます。
症状
咳
咳は、空気を急速に肺から排出することで気道をクリアにする自然な反射作用です。気道に入った異物や刺激物を除去しようとするときに起こりますが、様々な病気の兆候でもあります。
咳の種類
- 急性咳:通常は3週間以内の短期間に起こる咳。感冒や急性気管支炎が一般的な原因です。
- 亜急性咳:3~8週間続く咳。
- 慢性咳:8週間以上続く咳。このタイプの咳は、しばしば特定の健康問題に関連しています。
主な原因
咳の原因は非常に多岐にわたりますが、以下に主なものを挙げます。
- 感染症:風邪、インフルエンザ、肺炎、結核などの呼吸器感染症が急性咳を引き起こす一般的な原因です。
- 喘息:ゼーゼー、ヒーヒーを伴うことも多いですが、咳だけのこともあります。
- 胃食道逆流症:胃酸が食道に逆流し、喉や気管支を刺激して咳を引き起こします。
- アレルギー・花粉症:アレルゲンに反応して生じる咳。
- 喫煙:喫煙者咳とも呼ばれ、肺からタバコの煙や粒子を除去しようとする咳です。
- 肺がんや肺結核やCOPD(慢性閉塞性肺疾患):これらの疾患は慢性咳の原因となることがあります。
咳の診断
咳の原因を診断するために、医師は以下のようなアプローチを取ります。
- 病歴の聴取:症状、持続時間、関連する他の症状などについて尋ねます。
- 身体検査:聴診器を使って肺の音を聞きます。
- 検査:胸部X線、CTスキャン、肺機能検査、血液検査などが行われることがあります。
咳は多くの場合、数日から数週間で自然に解消しますが、咳が長期間続く場合や、血痰、呼吸困難、胸痛などの深刻な症状が伴う場合は、医療機関を受診することが重要です。
痰
気道の表面は、分泌物によって常に湿った状態で、この分泌物が気道表面の乾燥を防ぎ、また吸い込んだほこりや異物を捉えて、侵入を防いでくれます。普段は無意識に飲み込んでいますが、この分泌物の量や粘稠度が増すと、咳とともに痰として意識して吐き出されます。
痰の性状
- 色調 白色透明、ピンク色や血混じり、黄色から緑の膿性。
- 量 大量の場合は気管支拡張症や肺水腫、肺胞上皮癌が原因のこともあります。
- におい 感染した菌の種類によっては悪臭がすることも。
痰の原因は以上のような性状を問診し、また検査(細菌培養、がん細胞の有無、アレルギー細胞の有無)し、原因となる肺病変をレントゲン、CTなどで精査します。
痰は気道内の異物であり、それを喀出するための咳はむやみに止めてしまうのではなく、原因となる痰の治療が必要です。
呼吸困難
呼吸困難(呼吸苦)は、息苦しさを感じる状態を指します。これは主観的な症状であり、その原因は非常に多様です。呼吸困難は一時的なものから慢性的なものまであり、軽度から非常に重篤な状態まで幅広く存在します。呼吸器の病気だけでなく、心臓をはじめ他臓器の病気、また精神的なことで起こることもあります。
呼吸困難の原因
呼吸困難の原因は多岐にわたり、以下に主なものを挙げます。
- 呼吸器系の疾患
- 気管支喘息:気道が狭まり、呼吸が困難になる。
- COPD(慢性閉塞性肺疾患):肺の慢性的な疾患で、通常は喫煙が原因。
- 肺炎:肺の感染により、空気の入れ替えが妨げられる。
- 肺塞栓症:肺の血管に血栓が詰まり、血流が阻害される。
- 心臓疾患
- 心不全:心臓が血液を効率的に全身に送り出せない状態。
- 心筋梗塞:心筋への血流が遮断され、心筋の一部が損傷する。
- その他の疾患
- 貧血:酸素を運搬する赤血球が不足するため、体組織への酸素運搬が十分でない。
- パニック障害や不安障害:心理的ストレスが強いと、呼吸困難を引き起こすことがある。
呼吸困難は多くの場合、深刻な医療状態のサインであるため、急激な発症や、他の重篤な症状(胸痛、吐き気、めまいなど)が伴う場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。
胸痛
呼吸器内科領域における胸痛は、肺や気管支などの呼吸器系組織の異常によって引き起こされる痛みです。この種の胸痛は、心臓疾患によるものとは異なり、通常、呼吸、咳、体位の変化によって症状が変わる特徴があります。
胸痛を引き起こす呼吸器系の疾患
- 肺炎:肺の組織が感染によって炎症を起こし、胸膜に至った場合胸痛、発熱、咳(時には膿や血を伴う)などの症状が現れます。
- 胸膜炎:肺を覆う胸膜に炎症が起こる状態で、深呼吸、咳、体の動きによって痛みが増すのが特徴です。
- 肺塞栓症:肺の血管が血栓(血の塊)で塞がれることで起こり、急激な胸痛、息切れ、時には意識の混濁を引き起こします。
- 気胸:肺の一部が破裂し、空気が胸腔内に漏れることで肺が部分的にまたは完全に虚脱します。突然の胸痛と息切れが主な症状です。
胸痛は様々な重篤な病態を示す可能性があるため、特に急激な胸痛、持続する胸痛、息切れ、意識の混濁が伴う場合には、迅速な医療介入が必要です。
疾患
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
タバコを吸っていたり粉塵吸入の職業歴があると、肺がもろくスカスカになったり、気道が狭く空気が通りにくくなり、咳、痰、労作時の息切れが出現します。初めは坂道や階段で息切れがするだけでも、悪化すると同年代の人と同じスピードで歩けなくなり、もっとひどくなると入浴や身の回りの事をするにもにも支障をきたします。
主な原因
- 喫煙:ほとんどのCOPDの原因です、より若い頃から、より大量に、より長期に喫煙するほど悪化しやすいです。
- 大気汚染: 屋内外の空気汚染もCOPDのリスク因子です。
- 職業的曝露: 特定の化学物質やダストに長期間曝露されることもリスクを高める可能性があります。
- 遺伝的要因: α1-アンチトリプシン欠乏症など、特定の遺伝子異常が関与することもありますが、日本では稀です
症状
- 慢性的な咳: 「喫煙者の咳」とも呼ばれることがあります。
- 呼吸困難: 最初は運動時、時に坂道や階段を上るときにのみ現れることが多いですが、徐々に平地でも出現、同年代の人と同じスピードで歩けなくなり、病気が進行すると安静時にも呼吸困難を感じるようになります。
- 喘鳴: 呼吸時のゼーゼー、ヒューヒューという音。
- 胸の圧迫感。
- 痰: 咳に痰を伴うことが多いです。
- 繰り返す呼吸器感染: 風邪やインフルエンザにかかりやすく、また長引きやすいです。
診断
- スパイロメトリー: 呼吸機能検査で最も一般的なもの。どのくらいスムーズに息が吐き出せるか、検査します。
- 胸部X線: 肺の他の疾患を除外するためにも撮影します。
- CTスキャン: 肺の詳細な画像を提供し、COPDの診断に役立ちます。
- 動脈血ガス分析、6分間歩行、24時間パルスオキシメーターにて低酸素の有無や程度を確認します。
治療
COPDは完全には治癒できませんが、症状の管理と病気の進行の遅延には以下の治療が有効です。
- 禁煙: COPDの進行を遅らせ、症状を改善します。まずは禁煙です。
- 吸入薬: 気道を広げて呼吸を楽にするために使用されます。患者さん一人一人に合わせ適切な吸入デバイスを検討します。
- 呼吸リハビリテーション: 運動、栄養指導、呼吸法などの総合的なプログラム。
- 在宅酸素療法: 低酸素がある場合には、自宅では酸素濃縮器、外出時にはボンベを使用して、呼吸困難がなく日常生活ができるように調整します。最近は携帯型酸素濃縮器も使用できる場合があります。
- 感染症の予防と治療: 定期的なワクチン接種や早期の感染症治療。
COPDは慢性疾患であり、継続的な医療管理と自己管理が重要です。症状がある場合や、リスク要因に該当する場合は、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが重要です。
間質性肺炎
間質性肺炎は、肺胞周囲の間質に慢性的な炎症や線維化が起こる病気です。空咳、息切れがある場合は、聞きなれないこの病気の可能性があります。肺が線維化し硬くなる病気で、経過も原因もさまざまで、数か月の経過でどんどん悪化する場合も、また数年来変化がない場合もあります。
原因
間質性肺炎の原因は多岐にわたり、自己免疫疾患、特定の薬剤の影響、がんへの放射線治療後、職業的な因子(じん肺)、または原因が判明できない場合(特発性間質性肺炎)もあります。
症状
間質性肺炎の主な症状は次の通りです。
- 慢性的な咳
- 息切れ
診断
診断は、症状の詳細な聴取、身体検査、胸部X線やCTスキャンによる画像診断、肺機能検査で行います。
治療
治療は原因や進行の程度、症状の強さによって異なりますが、一般的には以下の方法が考慮されます。
- 肺線維化を抑制する薬剤
- ステロイドなどの抗炎症薬や免疫抑制剤の使用
- 在宅酸素療法
気管支喘息
気管支喘息は、気管のアレルギーによる慢性的な炎症性疾患で、気管支の過敏性が高まり、さまざまな刺激によって気管支が狭くなり、呼吸困難が生じる状態です。主にアレルギー反応によって引き起こされますが、他の要因も関与しています。
症状
- 喘鳴(呼吸時のゼーゼー、ヒューヒューという音)
- 咳(特に夜間や早朝に悪化する傾向がある)
- 呼吸困難
診断
診断は、症状の詳細な聴取、身体検査、そして肺機能検査(呼吸の強さや量を測定)によって行われます。場合によっては、アレルギーテストや他の呼吸器疾患を除外するための追加検査が必要になることもあります。
治療
残念ながら喘息は体質であり治ってしまうものではありません。吸入薬を中心に最低限の薬で症状なくコントロールしていく事を目標に治療を継続しましょう。最近は新たな生物学的製剤も次々開発されています。
- 長期管理薬: 毎日吸入して炎症を抑え、気管支の過敏性を減らします(吸入ステロイド、長時間作用型β2刺激薬との合剤)。
- 短期緩和薬: 発作時に使用し、速やかに気管支を広げて呼吸を楽にします(短時間作用型β2刺激薬)。
- 生物学的製剤:高額ではありますが数週間から1ヶ月ごとの注射にて劇的に改善することもあります。
- トリガーの管理: アレルゲンや刺激物から遠ざかる、感染症の予防、ストレス管理など、発作を引き起こす可能性のある要因を避ける。
- 教育とモニタリング: 症状やピークフローメーターでの自己管理、適切な吸入器の使用法を学ぶ。
気管支喘息は完治する病気ではありませんが、適切な治療と管理によって症状をコントロールし、普通の生活を送ることができます。息切れや長引く咳がある場合は、専門医の診察を受けることが重要です。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)は、睡眠中に繰り返し呼吸が停止したり、浅くなる状態を指します。睡眠の質を低下し、日中の眠気、集中力の低下、さらには心臓病や脳卒中のリスク増加につながる可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群の主なタイプ
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS): 最も一般的なタイプで、喉の筋肉がリラックスしすぎることで気道が一時的に塞がれ、呼吸が停止します。
- 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS): 脳からの呼吸を制御する信号が適切に送られないために呼吸が一時的に停止します。
- 混合型睡眠時無呼吸症候群: 閉塞性と中枢性の両方の特徴が見られます。
症状
- 睡眠中の呼吸の停止または浅い呼吸
- 大きないびき
- 睡眠中に何度も目覚める
- 朝の頭痛、目覚めの悪さ
- 日中の過度の眠気や疲れ、注意力の散漫
診断
診断は、詳細な聴取、身体検査、そして必要に応じて睡眠検査(ポリソムノグラフィー:PSG)によって行われます。ポリソムノグラフィーは、睡眠中の脳波、心拍数、呼吸パターン、血中酸素レベルなどをモニタリングする検査です。睡眠中の検査が必要ですが、簡単な自宅でできる検査から、一晩入院して行う精密検査まで、症状にあわせて選択、治療方向を検討します。
治療
- 生活習慣の変更: 体重管理、横向きで寝る、アルコールや睡眠薬の摂取を避ける。
- CPAP(持続的陽圧換気): PSGにて適応となった重症の場合には睡眠中にマスクを着用して気道が塞がれないように空気圧を維持します。
- マウスピース: 軽度から中等度のOSASの場合に有効で、下顎を前方に保持して気道を開くように設計されます。
- 手術: 呼吸障害の原因に応じて、扁桃摘出手術や顎の手術などが考慮されることがあります。
睡眠時無呼吸症候群は未治療のままでは日常生活に支障をきたすだけでなく、長期的な健康リスクを高めるため、上記の症状がある場合は医療機関での相談をお勧めします。
肺癌
レントゲンにて肺癌が疑われる場合、CTをはじめ気管支鏡などで精査し、治療へと結びつけます。
症状
初期の肺がんでは症状が出ないことが多いですが、病気が進行するにつれて以下のような症状が現れることがあります。
- 慢性的な咳または咳の変化
- 呼吸困難
- 胸痛
- 血痰、喀血
- 声がかすれる
- 体重減少や食欲不振
診断
- 画像検査: 胸部X線検査、CTスキャンが一般的です。
- 喀痰検査:痰の中にがん細胞が混じっていないか調べます。
- 組織検査: 気管支鏡あるいは経皮肺生検にて組織を採取して顕微鏡下で検査します。
- その他の検査: PETスキャン、MRI、骨スキャンなどを実施することがあります。
治療
治療はがんのタイプ、進行度、患者さんの体力、年齢に基づいて決定されます。当院では腫瘍内科とも相談し方針を検討します。手術や放射線治療が必要な場合には適切な医療機関へ紹介し、抗がん剤の場合には腫瘍内科へ引き継ぎます。患者さんの年齢やADLに合わせて緩和治療へ進める場合もあります。
肺がんは、早期発見が治療の成功率を高める重要な要素です。リスク因子がある方は、定期的な健康診断と医師との相談をお勧めします。
いずれの疾患も治療方針が決定し安定した場合には、御希望によりかかりつけ医さまへ紹介し、便宜を図ります。
スタッフ紹介
杉村 裕子
部長
専門分野
呼吸器一般
感染管理
専門医
日本呼吸器学会専門医・指導医
日本内科学会総合内科専門医・指導医
田村 緑
副部長
専門分野
呼吸器一般
抗酸菌感染
気管支喘息
専門医
日本呼吸器学会専門医
日本内科学会総合内科専門医・指導医
中井 昌弘
専攻医
専門分野
呼吸器一般
中 若菜
専攻医
専門分野
呼吸器一般
中村 真弥
非常勤医
専門分野
呼吸器一般
施設認定
- 日本内科学会認定医制度教育病院
- 日本呼吸器学会新専門医制度連携施設
診療実績
診療実績(2020年4月~2023年3月)
更新日
2023年6月1日