概要
顔面けいれん(facial spasm)は、顔の筋肉が不随意的に収縮する状態を指します。これは、通常、顔の片側に影響を及ぼし、眼の周りの筋肉から始まることが多いです。顔面けいれんは、軽微なものから非常に顕著なものまで、さまざまな程度で発生します。
主な原因
- 神経の圧迫: 顔面けいれんの一般的な原因は、顔面神経(第七脳神経)に対する圧迫、特に脳幹近くでの血管による圧迫です。
- 脳幹の病変: 脳腫瘍、多発性硬化症、または脳幹の損傷が原因で起こることがあります。
- ベル麻痺の後遺症: 顔面神経麻痺の回復過程で、顔面けいれんが発生することがあります。
症状
- 不随意の筋肉収縮: 顔の片側、特に眼の周り、口の周り、頬に影響を及ぼします。
- 眨目: 強制的なまたは頻繁な瞬きが特徴的な症状です。
- 顔面のひきつれ: 顔の一部が引きつったり、ひきつれたりする感覚が起こります。
診断
- 臨床的評価: 症状の自己報告と神経学的検査により診断されます。
- 画像検査: MRIやCTスキャン(造影剤使用)を用いて、神経圧迫の原因を探します。
治療
- ボツリヌス毒素注射: 痙攣する筋肉にボツリヌス毒素を注入して筋肉の活動を一時的に弱める。2-3か月で再燃あり、治療継続が必要。見た目は痙攣がとまっていてても自覚的には痙攣している違和感がある。
- 薬物療法: 抗てんかん薬や筋弛緩剤が使用されることがありますが、効果はあまりいいものではありません。
- 手術(微小血管減圧術): 血管による神経の圧迫が原因である場合、外科手術によって圧迫を解消します。根治術です。
左側の手術シェーマです。
(出典 脳神経外科学大系 15巻 中山書店)
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予防と管理
顔面けいれんの予防に特定の方法はありませんが、症状が発生した場合は、早期に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。また、ストレス管理やリラクゼーション技法が症状の軽減に役立つことがあります。
顔面けいれんは生命を脅かすものではありませんが、日常生活に影響を及ぼす可能性があります。適切な医療介入により、症状の管理と生活の質の向上が期待できます。