慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)
CKDとは、腎臓の働きを示すGFRが60 mL/分/1.73 m2未満もしくは蛋白尿・血尿が3ヶ月以上持続する状態です。心筋梗塞や脳卒中などの心血管病の合併頻度が高く、透析療法が必要な末期腎不全に進行することから、早期診断・治療が重要です。わが国の成人の8人に1人がCKD患者であると推定されており、新たな国民病ともいわれています。
CKDの重症度
CKDの重症度は、原因(C)、腎機能(G)、蛋白尿(A)に基づくCGA分類で評価されます。(下図)
緑、黄、オレンジ、赤の4色で色分けされ、色が濃くなるほど死亡、末期腎不全、心血管死亡のリスクが高くなります。
引用元:日本腎臓学会編 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023
CKDの原因
糖尿病、高血圧症、慢性糸球体腎炎(蛋白尿や血尿が長期間持続する病気)などが多いですが、加齢も大きな要因です。また、肥満や運動不足、喫煙、ストレスなどもCKDの発症に大きく関与しているといわれています。その他には遺伝によるもの、薬剤によるものなどもあります。
引用元:https://jinikai.com/index.php/whatjinzou/
CKDの症状
CKDは初期には自覚症状はほとんどありませんが、病状が進行するにつれて、以下のような症状がみられるようになります。
引用元:https://jinentai.com/doctor_qas/9.html
CKDの治療
CKDの治療の目的は腎不全の進行を遅らせることにあります。具体的には、原因疾患の治療(糖尿病であれば血糖管理,慢性糸球体腎炎であれば腎炎の治療など)、生活指導(適度な運動・禁煙、定期的な受診、服薬)、食事療法(減塩・低蛋白食)、薬物療法(腎臓を保護し、尿蛋白を減らす効果のある降圧剤による血圧コントロール、むくみを改善するための利尿剤の使用など)が中心となります。それでも腎不全が進行し、老廃物(尿毒素)の排泄が自身の腎臓で困難になってきた場合は、透析療法や腎臓移植の準備を進めていくことになります。
引用元:慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版