大腸の内側の表面(最も浅い層)は粘膜でできていて、この粘膜の一部がイボ状に隆起したものを大腸ポリープといいます。大腸ポリープはその組織の違いにより腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに大きく分けられ、腫瘍性ポリープはさらに悪性腫瘍(がん)と良性腫瘍(腺腫)に分けられます(図1)。
大腸がんができる過程としては、良性腫瘍(腺腫)が悪性化してがんになる場合、非腫瘍性ポリープが腫瘍化しそれががんになる場合、ポリープの状態を経ずに一気にがん になる場合(②)がありますが、メインルート(①)は良性腫瘍(腺腫)が悪性化してがんになるルートと考えられており、腺腫を切除(ほとんどは内視鏡で切除可能)すれば大腸がんになりにくくなると考えられています(図2)。
図1.大腸ポリープの種類
図2.大腸がんの過程
検査
便潜血検査
2日間の便を調べて1日でも陽性と判定されれば、一般に内視鏡による精密検査を行います。便潜血検査により進行がんの90%以上、早期がんの約50%、腺腫などのポリープの約30%を見つけることができ、その結果、大腸癌の死亡率を約60%、大腸癌になるリスクを46~80%下げることが報告されています。
注腸検査
ポリープの大きさと位置を診断します。
大腸CT検査
肛門から炭酸ガスを注入して大腸を拡張させてから,CTを用いて全腹部を撮影し,大腸の3次元デジタル画像を用いて病変を発見します。3次元画像表示には,仮想内視鏡画像・仮想注腸画像があります。仮想内視鏡画像は,画像解析ソフトを用いて仮想的に大腸の内腔を作成し内視鏡検査に類似したものです。あらかじめ下剤を使って大腸を空にします。
大腸内視鏡検査
ポリープを直接見て、治療が必要かどうかを判定します。また病変を拡大して観察する「拡大内視鏡検査」で精密に検査することができます。治療が必要なポリープはそのまま切り取ることもできます。
治療
内視鏡治療としては以下の方法があります。
①大腸ポリペクトミー
②大腸粘膜切除術(EMR)
③大腸粘膜下層剥離術(ESD)
大きな腺腫や早期癌であれば内視鏡的治療が可能です。
<出典:国立がん研究センターがん情報サービス>
詳細は「患者さんとご家族のための大腸ポリープガイド2023」をご覧ください。