閉塞性動脈硬化症
【解説】血管の壁は高血圧、喫煙、肥満などの原因で障害されると、血液を流れる余分な脂質などがその障害された部位に入り込み、「プラーク」という脂のコブを血管の壁に作ります。プラークが成長し血管が狭く硬くなり、血液の流れが悪くなった状態を「動脈硬化」といいます。動脈硬化の進展により血流が悪くなることで、歩くとふくらはぎのあたりが痛くなり、しばらく休むとまた歩けるようになる(間欠性跛行)というような症状がみられます。虚血の進行に伴い、歩いていない時も足が痛むようになり、さらに悪化すると、潰瘍や壊疽が生じます。
【検査】
- 血圧脈波検査(ABI検査):足と手の血圧の比を計算し、足の血圧が低下している場合は血流低下が疑われます。
- 造影 CT 検査:血管内に造影剤を注射し、血液の流れ、狭窄している部位を確認します。
【治療】血管を詰まりにくくする薬剤(抗血小板剤)や血管拡張剤の内服で治療を行います。また、軽傷の場合は痛みが生じない程度の運動をしっかりと続けることで症状の改善が期待できます。安静時の痛みや潰瘍など重症の方には、血行再建を行います。これには、風船(バルーン)や金属の筒(ステント)をカテーテルで患部に入れて血管を拡張するカテーテル治療と、外科的に太いバイパスを作成する治療があります。
閉塞性動脈硬化症に対するカテーテル治療の詳細についてはリンク先をご参照ください。
末梢血管の血管内治療
末梢血管拡張術(EVT)は下肢動脈をはじめとした末梢閉塞性動脈疾患、静脈疾患に対して行うカテーテル治療です。
方法は、大腿部鼠径部、膝窩部(膝の上部あるいは膝裏)、肘窩部(肘の内側)または前腕部(手首)の動脈へ局所麻酔を行い、カテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、カテーテルより造影剤(血管を強調してX線撮影を行うのに用いる注射薬)を注入し血管の狭窄や閉塞を調べます。その上でカテーテルからガイドワイヤーと呼ばれる細い鋼線(0.2~0.9mm程度)を病変部(動脈の狭窄あるいは閉塞部位)まで進め、バルーンと呼ばれる俵型の風船状のカテーテルや再狭窄予防のための薬剤を塗布したバルーンあるいはステントとよばれる金属製のメッシュの筒で血管を内側から拡げる方法です。