奈良県西和医療センターの役割と特徴
奈良県西和医療センターは、奈良県西和2次医療圏の基幹病院として、民間の医療機関での対応が難しいとされる医療分野、すなわち①救急医療を含めた高度・重症急性期医療、②小児医療等の地域に求められる医療、③災害や新興感染症等の有事の医療などを大きな役割として担っています。医師の働き方改革が進む中でも特に民間の医療機関における救急医療等は、人員確保を含めた様々な課題が出ております。地域のあらゆる医療需要に応える為にも、これからは民間病院で対応できるケースにおいては民間病院の力を発揮して頂き、公的病院はそれを補完する役割を果たすという考えに基づき、上記のような大きな役割を掲げております。
さて急性期医療の内容についてですが、従来は循環器疾患領域を最も得意分野とする急性期診療を提供する体制を特徴としていました。しかしながら、地域住民の皆さまの医療需要は、がんや筋骨格疾患など各種の専門的医療にも向けられています。その中でも特に近年は「がん」に対する外科治療や化学療法などに重点を置いております。最近では、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入し、泌尿器科領域・肝胆膵外科領域・大腸外科領域・胃外科領域、さらに婦人科領域においても、より精密でより質の高い外科手術治療を提供しております。一昨年に開設した「乳腺外科」「形成外科」等は、これまで医療提供が充分ではなかった領域でしたが、住民の皆さまのご要望に応えられるよう診療内容を充実させております。脳卒中・循環器病におきましては、一次脳卒中センターとして脳卒中の緊急血管内治療に対応し、更に急性心筋梗塞・急性心不全等の循環器病救急にも24時間体制で対応しております。また、子育て世代にとってより良い環境を実現するために、小児科医師を6名に増員して、地域の小児2次輪番体制を維持できるよう努めております。現在の西和医療センターは、昭和54年の建造物であり、老朽化を否めませんが、病院内の医療機器におきましては、最新のMRI装置やCT装置、血管造影装置などを常に整備して、住民の皆さまの命と健康を守れる体制を整えております。令和13年の「新西和医療センター」移転・新築に向けて、より一層地域の住民の皆さまから必要とされる病院また、なくてはならない病院を目指して、より質の高い医療をより分かりやすく丁寧に提供できるよう最大限の努力をして参る所存でございます。地域住民の皆さま・地域の医療や介護に従事されている皆さまからのご意見をお待ち申し上げますとともに、ご支援・ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
院長 土肥 直文