本格的な梅雨の時期に入っていますが、先生方もお元気でご活躍のことと拝察いたします。

この度、新聞報道されました医療安全介入の件ですが、侵襲的な治療を行う全ての医師にとって、誰もが当事者になりうる事例であることから、大変大きな衝撃を受けました。病院職員は一様に心を痛めております。このようなことで、熟練した医師の医療に対する士気や熱意をなくしてしまうことは、絶対に避けなければなりません。私としても、今回のことに大変心を痛めております。長年にわたり患者さんのために尽くしてきた医師の気持ちの回復を願い、今後このようなことが再び起こらないようにするという強い思いでございます。

さて、今年度から、地域のクリニックの先生方のもとに、「もっと積極的にコミュニケーションを取りにいこう!運動」を始めました。多忙な診療時間に、当院の患者支援センターの職員が伺うことについて、なにとぞご容赦ください。地域の先生方との連携と調和こそが、公的病院の役割を果たす上で必要なことであると考えます。どうぞ忌憚のないご意見をお聞かせください。

病院間連携につきましては、かねてよりこの紙面でお話ししておりますように、「地域医療連携推進法人」という仕組みをうまく利用して、地域の民間病院様との連携強化に取り組んで参ります。法的な問題点の解決策や双方にとってより良好な関係をどのように構築するかについての勉強会を地域の民間病院様と始めているところでございます。

西和7町の医療と介護の連携の基盤である「西和メディケア・フォーラム」も、設立から10年が経過しまして、行政や様々な医療職・介護職の皆さまに、成果を出していただいております。この地域の住民の方々が、「たとえ医療や介護が必要になったとしても、住み慣れた西和7町で、自分らしく生きがいをもって暮らすことができること」を大きな目的として、年2回の地域拡大会議の開催と6つの部会(地域連携部会、マネジメント部会、看護部会、薬剤師部会、セラピスト部会、口腔衛生・摂食嚥下部会)による活動を軸に、多職種が課題解決に向けて議論できる場となっています。このフォーラムには、「世話医」と呼ばれる7町それぞれの代表の医師に委員として入っていただいております。在宅医療を中心として活動されている先生方、外来診療を中心として在宅医療にはあまり関わっておられない先生方、そして病院の勤務医がともに力を合わせて、精密な地域包括ケアネットワークになるよう協力することがなにより肝心なことだと感じております。これからも地域の医療と介護の仕組みづくりを進めていくために、ご理解とご協力をお願いいたします。

暫くして梅雨が明けると、猛暑の季節がやって参ります。先生方におかれましては、くれぐれも体調を崩されませんように、ご自愛ください。

これからも先生方とともに、地域医療を支える役割を果たす所存でございます。ご指導・ご鞭撻のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

令和6年7月吉日

奈良県西和医療センター院長 土肥 直文

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