医師臨床研修について

■ 臨床研修医支援室長あいさつ

奈良県西和医療センターでは、医師臨床研修に特に力を注いでいます。厚生労働省が掲げる研修の理念と目標のなかでも、医師としての倫理観、責任感、患者さんを家族のように愛する気持ちなど、プロフェッショナリズムの教育を大切にしています。一人当たりの研修医に対する指導医や上級医が豊富ですので、臨床現場でのトレーニング機会に恵まれており、濃密で充実感のある研修生活を送ることができると思います。当院独自の様々な研修内容について、ホームページ(教育体制の部分)に公開しておりますので、興味を持って読んでいただければと思います。

■ 研修について(総論)

1.教育体制

2.研修医実務規定

3.処遇

4.研修医採用の公募規定

5.臨床研修修了祝賀会および研修医同窓会

 

 

1.教育体制

1) ローテートする診療科について
平成30年度研修においては、内科系診療科を計6ヵ月、救急医療および麻酔科の合計が3ヵ月、さらに地域医療研修1ヵ月、精神科0.5-1ヵ月を必修としています。外科系診療科(消化器一般外科、心臓血管外科、脳神経外科、整形外科、泌尿器科、皮膚科・形成外科、眼科、耳鼻咽喉科から選択)を2ヵ月選択必修としています。

 

2) 救急医療研修について
救急医療研修としては、研修医による救急搬送患者およびwalk-inの救急患者の初期診療(First-touch)の機会を十分提供できる体制を整えています。平成28年度採用研修医が1年目の1年間に救急患者の初期診療にあたった回数は平均500症例でした。これは、1ヵ月間の救急科研修期間(日勤帯の救急患者をすべて診療する)の診療実績と月間5回程度の当直時の救急外来対応を合わせたものですが、初期1年でほぼすべての重症患者の初期診療を経験できます。後ろには指導医がいますが、できるだけ研修医の診療における責任感をはぐくむために、First-touchを経験してもらえるような仕組みにしています。

 

3) 地域医療研修について
地域医療研修としては、県内の医療機関だけでなく、神奈川県三浦市(三浦半島の最南端)の三浦市立病院地域医療科の研修が可能です。三浦市立病院地域医療科では、漁港の町の巡回診療(訪問診療)およびそのような患者さんが急性期医療を必要としたときの入院診療も同時に行っています。訪問診療後には、振り返りをすることによって、地域包括医療の全体像を具体的症例に基づいて学習することができる貴重な医療機関です。私たちの西和医療センターとは姉妹病院の間柄で、様々な職種において相互研修をしている病院です。1ヵ月という短い期間ですが、港町で味わう旅情とともに充実した地域医療研修になっています。

経験した研修医感想文

 

三浦市立病院正面にて

 

4) 研修医のためのレクチャーおよび勉強会
西和医療センターでは、研修医のためだけの教育機会を数多く設けています。指導医や上級医だけでなく、病院全体のメディカルスタッフのなかにいる専門家による講義(エキスパートレクチャーと呼んでいます)が毎週開催されています。それ以外に英文の論文を読み書きのためのスキルを学ぶ抄読会、奈良県立医科大学臨床英語教室教授(Francesco Bolstad先生)によるClinical English講座など臨床英語の習得を重要視して取り組んでいます。その他、心電図判読講座や消化器疾患スキルアップセミナー、腹部画像読影講座など指導医による直接指導が盛りだくさんです。心電図も腹部画像読影も、初めは難しく思えるかもしれませんが、1年間講座受講を継続することで、専門医トレーニングのレベルまで判読できるようになります。

①エキスパートレクチャー
西和医療センターには、各診療科の指導医だけでなく、例えば朝出勤してから退勤するまで、ひたすら細菌の検鏡をしているプロフェッショナルがいます。そのような指導者によるグラム染色の仕方の実習や、様々な最近の検鏡のしかたなど、臨床細菌学の実際を教えてもらうような機会がエキスパートレクチャーです。1年間のスケジュール(2017年度)は下記のようになっています。研修医のためだけに開催していますので、出席は義務です。

 

テーマ 担当診療科
1 研修医の役割 循環器内科
2 症状からみた鑑別診断①胸痛・呼吸困難 循環器内科
3 医療安全の基礎 医療安全推進室
4 輸血療法の実際・血型とクロスマッチ(実習) 中央検査部
5 症状からみた鑑別診断②腹痛(内科編) 消化器内科
6 症状からみた鑑別診断③腹痛(外科編) 外科
7 看護師の役割とチーム医療 看護部
8 グラム染色と検鏡の仕方(実習) 中央検査部
9 今日の抗菌薬2017~抗菌薬の使い方~ 薬剤部
10 症状からみた鑑別診断④頭痛と意識障害 脳神経外科
11 症状からみた鑑別診断⑤めまい 耳鼻咽喉科
12 症状からみた鑑別診断⑥消化管出血を見たら 消化器内科
13 産婦人科の救急疾患 産婦人科
14 集中治療と医療機器1(酸素療法と人工呼吸器の使い方) 臨床工学室
15 集中治療と医療機器2(血液浄化療法機器の使い方) 臨床工学室
16 リハビリ適応疾患と実際 リハビリテーション部
17 褥瘡予防と創の評価 看護部
18 疼痛コントロールと鎮静法の実際 麻酔科
19 症状からみた鑑別診断⑦しびれ・腰痛と脊椎疾患の診かた 整形外科
20 呼吸器疾患の診かた1(慢性呼吸器疾患) 呼吸器内科
21 肝胆膵の緊急疾患 外科
22 フットケアの実際 皮膚科・形成外科
23 血液塗抹標本の作成(染色)と見かた(実習) 中央検査部
24 MRIの基礎(MRI撮影法とその解釈) 中央放射線部
25 核医学の基礎と核医学検査の臨床での用い方 中央放射線部
26 介護保険のしくみと実際 看護部
27 症状からみた鑑別診断⑧排尿障害と血尿 泌尿器科
28 水・電解質と酸塩基平衡 腎臓内科
29 医療書類作成時のルールと注意点 メディカルセクレタリー
30 産婦人科処方の実際~診療ガイドラインから~ 産婦人科
31 集中治療と医療機器3(補助環境の基礎) 臨床工学室
32 在宅支援と退院支援の実際 患者支援センター
33 脳神経外科疾患の診断と手術適応 脳神経外科
34 栄養状態の基礎 栄養管理部
35 呼吸器疾患の診かた2(急性呼吸器疾患) 呼吸器内科
36 臨床細菌学の基礎と実際 中央検査部
37 麻薬の法的規制と使用法の実際 薬剤部
38 判読の難しい心電図の考え方 循環器内科
39 慢性腎臓病の臨床と腎代替法 腎臓内科

 

 

②Clinical English

Francesco Bolstad先生

③英文論文の抄読会

④心電図判読講座

⑤消化器疾患スキルアップセミナー

⑥腹部画像読影講座

⑦総合診療カンファレンス(2か月に1度、年6回奈良県総合医センターとの共催)
洛和京都医学教育センター長 酒見英太先生によるケースカンファレンス。当院の実際の症例から、診断に苦慮した症例について、診断に至る考え方を解説していただきます。

 



 

⑧院外の指導医によるカンファレンスやsmall-group teaching
テレビ等でも有名な指導医を全国から招聘して、研修医のためにカンファレンスやsmall-group teachingを行っています。この特別な機会の提供に関しては、奈良県西和医療センター教育研修室のFacebook(https://facebook.com/seiwa.kenshu)で最新のニュースを公開しています。

 

 

松本謙太郎先生(ドクターマツケン)カンファレンス



 

 

忽那賢志先生(国立国際医療研究センター)カンファレンス



 

 

坂本 壮先生(順天堂大学医学部附属練馬病院)レクチャー


 

2) シミュレーショントレーニング
西和医療センターでは、研修医に対するシミュレーショントレーニングを重要視しています。メディカルトレーニングルームにおいては、静脈注射、気管内挿管、中心静脈カテーテル挿入やBLS等の基本的シミュレータでのトレーニングを行っています。

 

 

縫合手技トレーニング@西和医療センター



また、院内では不足しているシミュレーターに関しては、奈良医大のシミュレーターを使用し、教育します。

 

 

シミュレーショントレーニング@奈良医大




それに加えて日本内科学会の内科救急・ICLS講習会(JMECC)をこのトレーニングルームで開催しています。JMECCは将来の専門医取得時に必要になる資格ですので、できるだけ多くの研修医に参加してもらっています。

 

 

JMECC 2016 @西和医療センター




さらに院外シミュレーショントレーニングとして、神奈川県中井町にある総合シミュレーショントレーニング施設で、夏合宿(2泊3日)を開催し、1年次、2年次の研修医と1年目の新人ナースによる合同シミュレーショントレーニングを毎年開催しています。この夏合宿では、気管内挿管から緊急外科的気道確保法である輪状甲状間膜切開など普段トレーニングが困難な手技まで学習できます。さらに指導医の先生方が入念に準備したいくつものパターンのシナリオに基づいたシナリオシミュレーショントレーニングを行っています。研修医、新人ナースともに本当に多くを学べる絶好のチャンスです。中井町は湯河原温泉に近く、宿舎での懇親会も「楽しすぎる!」と大好評です。

 

 

夏期シミュレーショントレーニング合宿2017 in 神奈川県中井町











研修おつかれさまでした!

夏合宿だけでなく、シナリオシミュレーションはトレーニングルームでも医師・看護師共同で定期的に開催しています。西和医療センターは大学病院のように超高額なシミュレータが揃っているわけではありません。そのかわり、この夏合宿のような機会に集中的にシミュレーショントレーニングを受けることができ、本格的シミュレーションセンターを整備している大学病院に勝るとも劣らないシミュレーション教育を実践しているのです。

 

 

2.研修医実務規定

①研修医の診療における役割、指導医との連携、診療上の責任

  • 1)研修医の役割
    指導医または上級医とともに入院患者を受け持つ。研修医は単独で患者を担当しない。
  • 2)指導医との連携
    指示を出す場合は、指導医・上級医によく相談し、指導を受ける。
  • 3)診療上の責任
    研修医が患者を担当する場合の診療上の責任は、各診療科の指導医にある。
  • 4)指導医の承認
    研修医は、指示や実施した診療行為について指導医に提示する。指導医・上級医は、それを確認し、診療録に記録を残す。

 

②研修医の指示出し基準
上記1の指導のもとに行う。その際には「研修医の医療行為に関する基準」を参考にする。

研修医の医療行為に関する基準

 

③研修医の実務規程

1)病棟

  • ア. 研修医は研修プログラムの一環として、病棟での入院診療を行う。
  • イ. 研修医の入院診療業務における役割は、副主治医であり、電子カルテ上では「担当医」として登録する。
  • ウ. 研修医の診療業務は、研修プログラムに規定された範囲内の診療行為に限る。また、上級医の指導のもとに行う。「研修医の医療行為に関する基準」を参考にする。
  • エ. 診療対象は、ローテート中の診療科部長(診療科責任者)により指定された患者とする。
  • オ. 入院患者の診察は原則として病室で行う。
  • カ. 入院患者に対する処置の一部は、処置室で行う。
  • キ. 入院診療記録作成や画像閲覧は、院内に設置されている電子カルテを用いて行う。
  • ク. 研修医は、病棟において行った全ての診療行為について、入院診療記録を速やかに作成した後、指導医・上級医のチェックを受ける。
  • ケ. 研修医は、看護師などの病棟スタッフと協力して診療に当たる。

2)一般外来および救急外来
【一般外来・救急外来共通】

  • ア. 研修医は研修カリキュラムの一環として、外来診療を行う。
  • イ. 研修医の診療業務は、研修カリキュラムに規定された範囲内の診療行為に限る。また、指導医・上級医の指導のもとに行う。

【一般外来・救急外来共通】

  • ア. 研修医は、一般的な疾患を中心に全ての救急患者の診療を行う。
  • イ. 平日の日勤帯の患者は、救急担当医と共に当該診療科所属研修医が対応する。
  • ウ. 夜間・土日祝祭日は、指導医・上級医の日宿直医と共に研修当直医が対応する。
  • エ. 指導医・上級医の許可、監視のもとに研修規程を遵守しながら研修医が診察を行う。診察の最後に指導医・上級医のチェックを受ける。救急は以来患者の帰宅の決定は、指導医・上級医が必ず行う。研修医だけで行ってはならない。

3)手術室

  • ア. 初めて入室する前にオリエンテーションを受けておく。
    • A.更衣室、ロッカー、履物、術着について
    • B.手洗い、ガウンテクニックの実習
    • C.清潔・不潔の概念と行動
  • イ. 帽子、マスク、ゴーグルを着用する。
  • ウ. 手術室スタッフ不在時の入室は禁止する。
  • エ. 不明な点があれば、手術室師長・看護師に尋ねる。

4)日宿直

  • ア. 初めて入室する前にオリエンテーションを受けておく。
  • イ. 休日の日勤・夜勤の当直を1年次の研修医が行う場合は、必ず指導医又は上級医と共に診療を行う。2年次の研修医が行う場合は、状況によっては、指導医又は上級医に電話で相談の上、1人で診療を行うことも可能である。ただし、診療後は必ず指導医又は上級医に報告しなければならない。
  • ウ. 当院での日宿直は原則、月に宿直3~4回、日直1~2回とし、合計して6回を超えないものとする。
  • エ. 協力型医療機関での研修中は、協力型医療機関の指導医の指示に従う。
  • オ. 宿直勤務の翌日は、勤務から外れることを原則とする。
  • カ. 研修医が監視なしで行える業務については「研修医の医療行為に関する基準」を参照。

    研修医の医療行為に関する基準

 

 

3.処遇

  • ① 身分は常勤嘱託職員とし、副業やアルバイトは禁止する。
  • ② 給与は、1年次は月額259,000円、2年次月額310,000円とする。
  • ③ 宿日直手当は、1回につき20,000円とする。
  • ④ 勤務時間は8:30~17:15で週5日勤務とする。
  • ⑤ 休暇は週休2日、祝日、年末年始、特別休暇及び有給休暇(1年次10日、2年次11日)を付与する。
  • ⑥ 研修医用借り上げマンションがあり、自己負担額は月額20,000円とする。
  • ⑦ 社会保険等は地方職員共済組合(保険、年金)、雇用保険、公務災害補償を備えている。
  • ⑧ 医師賠償責任保険は病院において加入する(個人加入については任意)。
  • ⑨ 研修医専用室があり、個人机・ロッカーを使用できる。
  • ⑩ 外部研修は学会、研究会等への参加が可能であり、プログラム責任者が認めた場合は、交通・宿泊費用は当院が支給する。

 

 

4.研修医採用の公募規定

  • ① 当院で研修医を募集するプログラムの名称は奈良県西和医療センター臨床研修プログラムである。
  • ② マッチングシステムに参加し、全国から研修医を募集する。
  • ③ 定員は8名とし、毎年研修管理委員会において募集定員の検討を行う。
  • ④ 応募対象者は当該年度の医師国家試験受験資格者又は過年度医師国家試験合格者とする。
  • ⑤ 書類、面接、小論文をもとに選考試験を行う。なお、選考試験は院長(統括責任者)、研修管理委員長(プログラム責任者)、副院長兼看護部長、事務部長によって行われる。
  • ⑥ 採用試験日程、必要書類等は決定次第、ホームページで公表する。応募者は、提出期限までに、臨床研修医選考試験願書及び採用申請書(直筆・写真貼付)・卒業(見込み)証明書・成績証明書・健康診断書(医療機関もしくは大学で発行されたもの)の提出により、申し込みを行う。
  • ⑦ 見学は随時受け付ける。(採用面接試験前の見学は必須ではない)

    学生見学申込書

  • ⑧ 不明な点等がある場合の問合せは、総務係長の五十嵐が担当する。

 

 

5.臨床研修修了祝賀会および研修医同窓会

毎年3月の第2金曜日に、臨床研修修了祝賀会を大阪市のマリオット都ホテルで開催しています。この祝賀会には院内全ての医師が参加し、2年間の研修修了を皆で祝っています。また、4年に1度(夏季オリンピックのある年)には同窓会を兼ねて開催し、卒業生に近況報告などを発表してもらっています。これまでに巣立って行った研修医の多くも、今や様々な施設で指導医として活躍しており、現役研修医にとって刺激になる同窓会となっています。

 

2015年度研修医同窓会





同窓生(皆それぞれ頑張っています)

Bolstad先生と

 

2016年度研修修了祝賀会






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