放射線科 
-疾患・治療-

主な検査の特徴

■ CT検査

X線を利用して、体の断層像(輪切り)を撮影します。当院では、2台のCT装置(64列、320列マルチスライスCT)が稼働しています。撮影で得られた画像データをコンピューター解析して、目的に応じた、さまざまな角度の断層像や、立体画像を作ることができます。全身臓器の炎症や出血、腫瘍などの精密な診断のために造影剤を注射して検査する場合もあります。造影剤を使用する場合には、造影剤による副作用を予防するために、事前に問診票に必要事項を記入していただき、副作用のリスクが高くないかどうか確認しています。

 

■ MRI検査

磁気を利用して、体の断層像や立体像を撮像し、病気の状態を調べます。特に、脳・脳血管、子宮、卵巣、前立腺などの骨盤部、四肢関節、脊椎などの検査に優れています。例えば、脳梗塞では他の検査で異常を指摘できない発症直後でも異常像が捉えられ、早期診断・早期治療に大きく貢献しています。精密な診断のために、MRIでも造影剤を用いることがあります。また、MRI検査室内は、装置による強い磁場が常に発生していますので、ペースメーカー、人工内耳などの体内電子装置や体内金属、マグネット着脱式義歯などを装着されている場合には、安全性の観点から検査できない場合があります。これらについても、事前に問診票に必要事項を記入していただいて、安全性に問題がないかどうかを確認しています。

 

■ 核医学検査

微量の放射線を出す物質を用いた薬品を注射したり飲むだけで、臓器の形や機能、血流を調べたり、炎症や腫瘍が身体の中のどの臓器にあるかどうかを調べたりする検査です。

 

■ IVRについて

IVR(アイブイアール)は、病気の画像診断に引き続いて、病変の場所をピンポイントに治療する新しい治療方法で全身麻酔を必要とせずに、迅速・低侵襲にて患者さんにやさしく治療を行います。詳しくは、次の「IVRとは」の項目で述べます。
2017年現在、当科では心血管系や脳神経系以外の血管系カテーテル治療(血管系IVR)に対応しています。また非血管系の低侵襲的治療(非血管系IVR)にも出来る限り対応しています。

 

 

1.IVRとは

IVR(アイブイアール)は聞きなれない言葉でしょう。インターベンションラジオロジーの略で、日本語では「画像下治療」とも言います。放射線科医が、放射線診断に用いる技術を治療に応用したのが始まりです。血管や胆管などに細い管(カテーテル)を入れて病巣部まで誘導し、抗ガン剤を注入したり、出血を止めたり、狭くなっているところを広げたりする治療や、病巣に針を刺して、病理検査のための組織を採取する手技などが含まれます。

 

<腫瘍に対する経動脈性カテーテル治療>
 体幹部での経カテーテル治療の中では、腫瘍に対する経動脈性のカテーテル塞栓術が最も一般的なものです。その中で特に多いのが肝臓癌に対するカテーテル治療であり、当院では全例放射線科でIVR専門医が施行しています。肝臓癌以外の腫瘍に関しては治療対象になるものは少ないものの、適応があると判断される症例にはカテーテル治療を積極的に行っております。まれながら、より高度で先進的な技術を要する症例では、奈良県立医科大学 放射線科・IVRセンターなどの高度医療機関に紹介させていただく場合もあります。

 

<腫瘍以外の疾患に対する経動脈性カテーテル治療>
 腫瘍以外でも、経動脈性カテーテル治療が有用な症例があります。例えば、消化管出血は内視鏡的止血術で解決できる場合が多いのですが、内視鏡的に止血が困難な症例では、経動脈性カテーテル治療による血管塞栓術が功を奏する場合があります。また、腹部領域の術後出血、交通事故などの鈍的外傷による肝破裂や脾破裂などの多量出血を伴うような臓器損傷などでもカテーテル治療による止血術が有効な場合があります。当院では、消化器内科や外科、救急部など関連する診療科との密な連携のもと、カテーテル治療の適応があると判断された症例について、迅速に対応しています。

 

<経静脈性のカテーテル治療>
 静脈系のカテーテル治療では、中心静脈カテーテル留置術もしくは中心静脈ポート留置術がほとんどを占めます。中心静脈ポート留置術は、抗がん剤などの薬剤投与や静脈栄養が長期にわたり必要な症例に対して適応があり、当院ではほぼすべての症例を放射線科で施行しています。

 

<非血管系IVR>
 非血管系IVRには、画像誘導下に経皮的に胆管など管腔や膿瘍を針で穿刺し、続いてドレナージチューブを留置したりする手技や、実質臓器へ太い針を刺して、臓器の組織を採取する組織生検術など、さまざまな手技があります。代表的なものとしては、外科的胆嚢摘出術が非適応の胆嚢炎に対する経皮的胆嚢ドレナージ術や、抗生剤投与のみでの治療が難しい、サイズの大きな肝膿瘍、腎膿瘍あるいは術後の腹腔内膿瘍などに対するドレナージ術があります。超音波ガイド下で穿刺するには解剖学的に難渋するような症例に対しては、CTガイド下での穿刺法を併用することで膿瘍ドレナージ術の成功率が上がるようつとめています。また、各組織生検術に関しては、超音波ガイド生検術は臨床各科でも施行されていますが、超音波穿刺に難渋する症例では、放射線科でCTガイド下穿刺での生検を施行しています。

 

 IVRの特徴は、1,低侵襲的であること、2,比較的短時間で治療できること、3,局所に対する治療であり全身への影響が少ないことです。放射線科では、IVR専門医が、このような多岐にわたるさまざまな手技を通じて、臨床各科の医師と連携し、患者さんの治療に貢献できるよう日々努力しています。

 

 

2.転移性肝ガンに対するIVR

転移性肝ガンとは他の臓器(胃や大腸など)のガンが肝臓に転移した状態のことで、肝臓にできたガン(原発性肝臓ガンといいます)とは区別されています。治療法はもともとのガン(胃や大腸などの原発巣)の状態や肝臓以外の転移の状態によりさまざまですが、これからご説明するリザーバー動注治療は①肝臓にのみガンがあり、手術適応のない方、②他の臓器にもガンがあるが肝臓のガンが進行しており、急いで肝臓の治療が必要と思われる方が良い適応となります。

 

 

【リザーバー動注治療】

 

■ 1)リザーバー動注治療とは

肝臓の動脈に直接抗ガン剤を注入する治療です。点滴や内服薬で抗ガン剤を使用する治療と比較して病変の抗ガン剤濃度を高め、かつ全身への副作用を軽減できることが特徴です。

 

■ 2)リザーバー留置について

我々は、ふとももの付け根から、痛み止めの局所麻酔を行った後に、細い管(カテーテル)を動脈に挿入し、肝臓の動脈近くまで誘導します。胃や十二指腸など肝臓以外の動脈を塞栓し、抗ガン剤が肝臓にしか流れないように細工した後、肝臓の動脈にカテーテルを留置します。このカテーテルは血栓がつきにくい特性があり永久的に体内に入れておいても大丈夫です。カテーテルはリザーバー(埋め込み型ポート)と呼ばれる厚いコインのようなものに接続して、下腹部の皮膚の下に埋め込みます。

 

■ 3)リザーバー留置後

リザーバー留置後は特に生活に制限はなく、普段どおり入浴もしていただけます。抗ガン剤の投与スケジュールはどの臓器からの転移か(胃ガンの肝転移や大腸ガンの肝転移など)によって異なりますが、基本的には一週間に一回の外来通院で治療可能です。

 

■ 4)合併症について

留置後の合併症として、肝動脈の閉塞、カテーテルの位置移動、リザーバーやカテーテルの感染、穿刺部の出血などがあげられます。

 

 

3.胆管ガンに対するIVR

胆管ガンは、肝臓から十二指腸まで胆汁が流れる胆管に発生したガンです。多くは胆汁の流れが滞って起こる黄疸(閉塞性黄疸といいます)で発見されます。閉塞性黄疸を放置すると、肝機能が低下したり胆管炎を併発した時には生命の危険にもつながるため、緊急的に留まっている胆汁を体外に排除するIVR(胆管ドレナージ)を行う必要があります。

 

この胆管ドレナージには、内視鏡を用いて鼻から胆管まで管を入れる方法(ENBDといいます)と、体表より直接胆管を穿刺して管を入れる方法(PTCDといいます)があります。ENBDは穿刺による合併症がない利点がありますが複雑な操作がしにくいため、私たちは以下に述べる複雑なIVRにも対応できるPTCDを行っています。

 

尚、PTCDで最も頻度が高い合併症とされる出血についてお話しします。PTCDに限らず体表より穿刺するIVRの全てで出血の危険があります。通常は、非常に細かい血管を損傷して(いるはずです)も患者さんの止血機能が正常であれば問題になりません。穿刺の際には超音波などで観察し太い血管を避けています。超音波で見えないやや太めの動脈を穿刺してしまった場合が問題となります。この場合は、血管造影により動脈損傷を確認しその場合を塞栓して止血する必要があります。私たちのPTCDに合併した出血で、塞栓による止血が必要であった頻度は約1%です。

 

PTCDを行って緊急事態を避けた後はいろいろな検査を行い、原因となっている胆管ガンが手術で切除できるかを判断します。手術ができない場合、狭くなっている胆管にステントを留置して、胆汁の正常な流れを取り戻します。胆管ステント留置が成功すれば、PTCDなどの管を抜くことができ日常生活ができるようになります。さらに、原因となっている胆管ガンに対する治療として、放射線治療や、リザーバーを用いた抗ガン剤の動注治療を行うこともあります。

 

 

■ 胆管ステント留置術

胆管ステント留置術は、ガンで狭くなっている胆管にステントという治療器具を留置して、胆管を拡げる治療です。

 

ステントは人体に安全な金属製で、細く折りたたまれています。胆管閉塞部分まで折りたたまれた状態のステントを誘導し解放すると、”バネ”のように筒状に拡がり胆管を拡張させます。尚、一旦留置したステントは、通常、除去することはできません。バネの力で接続的にガンによる再閉塞に対抗していますので、除去する必要はないと思いますが。

 

留置方法は、PTCDの管が入っているお腹の皮膚に少量の局所麻酔を行い、ここから胆管ガンで閉塞している場所を通り抜けて正常な胆管の場所まで、折りたたまれた状態のステントを誘導します。ステント留置予定の場所が適切であることを確認した後、ステントを解放します。解放と同時にステントは拡がり、閉塞していた胆管も拡がりますが、後でお話しする急性再閉塞に備えて念のためPTCDの管を数日間入れておきます。ステント留置の数日後にステントと胆管の広がりが適切であることを確認し、PTCDの管を抜去します。

 

合併症として、ステント留置直後に腹痛が起こることがあります。これは、閉塞していた胆管が急に拡げられるためと考えられます。痛みは強いものではなく時間とともに薄れますが、お辛いようでしたら痛み止めをお出ししています。留置直後にわずかに出血することもありますが、これもステントにより胆管が拡げられるためで心配はいりません。

 

ステント留置後の急性再閉塞についてお話します。通常はステント留置の数日後には胆汁の流れも正常化し、PTCDの管を抜くことができます。しかし、時にステントは拡がっているにもかかわらず、胆汁の正常な流れが回復しないことがあります。これは、ステントの刺激で胆汁が粘っこくなったり胆管壁がむくむためと考えられていますが、原因はまだ十分に解っていません。もし、急性再閉塞がおきたら、もう一週間程度PTCDの管を入れたままにします。それでも改善しなければステントを追加留置しています。

 

ステント留置に成功して普通の生活にお戻りいただいても、いずれの日にかガンの増大により再度黄疸がおこります。再度PTCDを行いステントを追加留置することでまた普通の生活に戻れることもありますが、多くの場合、初回時よりもガンが進行しているため十分なIVRが困難となります。少しでもガンの進行を遅らせるために、次にお話しするガン治療を併用しているのはこのためです。

 

 

■ リザーバー動注治療

抗ガン剤をガンが存在する場所にだけ動脈から繰り返し注入する治療法です。詳しくは、転移性肝ガンの項目でお話ししています。

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